雨の夜の夢

先月の誕生日に友達から
塩まくらというプレゼントが届いた。
まったく知らなかったけれど、
文字通り、塩が詰まった枕。
少し硬めの寝心地だけれど、ひんやりして頭にしっくりなじむ。
愛嬌のあるシロクマ君の絵柄もいいんだなぁ。

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そんな枕で安眠のこの頃だっけれど
日曜日の夜中に窓を打つ雨音で目がさめた。
風もゴォゴォ鳴っている。
遠くを台風がとおっているんだ。

雨音を聴きながらまた眠り
夢を見た。

オフィスの大きなテーブルいっぱいに
色とりどりの校正刷りの印刷物が広がっている
ひととおり校正した後
クライアントに持っていくように社長に言われた。

持っていく段になって
相手方の担当の名前を聴くのを忘れてしまったことに気づく
社長は出かけてしまった直後
慌てて追いかけて、やっと追いつくが
そんなことも知らなかったのかと叱られてしまう。

午後一番でと頼まれていたのに
気がつくと午後5時まで後少しの時間、
大慌てでクライアントに着くと
今度は自分の名刺を持って来るのを忘れたことに気づく。

仕方ないので、名刺は無しで入っていくと
まるで裸の王様そのままのような社長が出迎えてくれ
ゆったりとしたソファーと
果物が山盛りいっぱい盛られた皿のあるテーブルのある部屋に案内された。

まぁまぁ食べなさい、飲みなさいと
まるで仕事のことはそっちのけ。
名刺交換の挨拶がなくてホッとしたものの
気がつくと、自分の周りに女の人がいっぱい
ぎゅうぎゅう詰めにソファーに腰掛けている。
向かいのソファーには裸の王様。

なんだ、なんだ、これは?というところで
目が覚めた。

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小さな出版社に勤めたいた20代の頃
企業の健康保険組合や、年金基金の出版物を取り扱っていたので
たまに大きな会社のクライアントに
校正刷りを持っていくことなどがあった。

たいがい組合の長の方々は
20代の私には父親よりも年配と思われる方も少なくなくて
緊張したものだ。
おおかた駆け出しの若い女性と思うと
優しく接してくださったけれど
中には礼儀作法に厳しい方もいた。

ある時、クライアントへの校正運びも少し慣れた頃
どうやら私が生意気な口の利き方をしたことがあったようだ。
社に戻ってすぐに社長に呼ばれ
会ってきたばかりの担当者から電話があったと。
そして、私の態度、受け答えについて注意された。

私としては一人前に仕事をこなしてきたと
意気揚々として戻ってきたばかりだったので
ガツンと頭を殴られたようにショックだった。

なぜその場で言ってくれなかったのだろう。
なんで社長に電話で伝えなければならなかったんだろうと
悔しさと情けなさでいっぱいになった憶えがある。

直接言うのはためらわれたのだろうか
それとも上司にきちんと事実を伝えておきたかったのだろうか。
しかしその後、その方が退職されるまでの数年
何度となく足を運び
互いに信頼しあえるようになった嬉しさは
その時があったから、なおのことだったと思う。

今朝の夢はやっぱり夢、
辻褄が合わず、おかしかったけれど
そんな頃も思い出させてくれた。




# by sarakosara | 2017-09-19 23:10 |

犬猿の仲

先々週の土曜日、Kちゃんのお母様の命日に
鎌倉までお墓参りに出かけた。
前からいつかと言っていたのだけれど
何度かどちらかの都合がつかなくなって実現しなかったので
念願叶っての、いざ鎌倉。

この日はよく晴れて暑くなり
秋の蝉の声が緑濃い木立の中から聴こえて来る。

お墓まいりの後
お昼まで時間があったので
近くのお寺さんへ。
坂東三十三観音札所一番、杉本寺。

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苔むした階段が歴史を物語り
その向こう
茅葺の本堂の中は薄暗がりで厳かな中にも
ほっと心落ち着く雰囲気。
さほど大きくない堂内には大小様々な観音様がいっぱい。
三体の十一面観音はそのまた奥の暗がりに安置され
お姿はよく見えなかったけれど、不思議と落ち着く空間だった。

境内に出ると暑いとはいえ九月。
向かいの山並みからも清々しい風が吹いてなんとも心地よい。

さて、お待ちかねのお昼。
Kちゃんとっておきの場所。

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運ばれたスープにびっくり。
ビーツで作ったと言うきれいなピンクのスープ。
わぁとテンション上がりまくりで
鎌倉ビールをお供に乾杯。

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何かの話から干支の話に。
「そういえば、Cちゃん戌年でしょ
私は申年、実は犬猿の仲なのよねぇ」とKちゃんが笑う。

え?あら!ほんとだ。
言われて初めて気づいて、私も笑った。

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ブログで出逢って親しくなって
父の葬儀にも友達代表で来てくれたKちゃん。
私もこうしてお母様の命日に墓前で一緒に手を合わせることができた。

そういえば、桃太郎の鬼退治に
きびだんごをもらって一緒にお供したのは猿と犬だよね。
詳しい話は忘れたけれど
犬猿の仲も力を合わせたってこと。
きびだんごにつられたとしたって縁があったのだもの
犬猿の仲も悪くないじゃない。

年末にはキジさんも参加して
お供三人衆そろい踏みの予定もある。
今度は年末を楽しみにと、約束して別れた。







# by sarakosara | 2017-09-19 23:09 | ぶらさら子

秋の気配

9月。
カレンダーに合わせたように
関東は少し冷たい、乾いた風が吹いている。
気がつけば、朝陽の差す位置も変わってきている。
夕暮れも早くなった。

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先日我が家の建築を頼んだ住宅メーカーから
吊り戸棚の固定確認のお知らせという文書が届いた。
なんでも、施工建物で吊り戸棚の不具合があったとのこと。
全てのお客様宅で確認作業をすることになったという。

わぁ、面倒くさいな‥
と思ったものの、地震も心配な昨今、
タダで点検して補強もしてくれるというのを断ることもない。

とはいえ、とはいえである。
我が家は夫の両親、私の父と三世帯住宅だったので
締めて9箇所もの吊り戸棚があることになる。
点検の日は中身はいったん出さなければならないらしく
父のところも、寅さんの両親のところも
まだ片付けていない食器など入ったまま。
週末に少しずつ片付けるとして
点検は10月末にしてもらった。

昨日手をつけた吊り戸棚には
各種書類の他に手紙の入った大きめの菓子の缶が三つほど。

今回は食器類も思い切って処分していくつもりなので
手紙も同様、思い切ってと思っているけれど
何も見ずにバッサリと捨てることはできず
確認しながら、古いものを中心に
3分の2ほどを減らすことができた。
中には名前を見ても、さっぱり思い出すことができない人がいた。
内容を読んでも思い出さない、ナンジャラホイ。

残った三分の一はやはり封書が多いけれど
ちょっとした一言が残る葉書もある。

いずれは全て処分するつもりだが
時間ができたら一通ずつ読み返し、それからと思っている。

中に一通、葬儀のお礼の手紙があった。
印刷されたもので、この類のものをずっと取ってあることはないのだけれど
捨てられずにとってあったらしい。
夕焼けの好きな人、そんな秋の日に逝ってしまった。

その友人が好きだと言った歌
オフコースの「秋の気配」
どんな思い出があったのか、きかずじまいだったけれど
この歌を聴くと彼女のことを思い出し
秋が来たんだなぁと思う。


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母がいた頃、秋が来ると淋しいと言っていた。
母は今の私より若くしてなくなったから
一概に年齢でそう感じたのではないだろう。

私は秋が好きだから、淋しいとは思わない。
けれど、やはり秋の風が吹くと、どこか人恋しくなる。








# by sarakosara | 2017-09-03 18:08 | 日々

秋田の伯母

秋田の雄物川の二度にわたる氾濫で
開催が危ぶまれていた大曲の花火大会が
当日朝方まで徹夜で行われた懸命の河川敷の復旧作業で
無事に開催に至ったという。
お借りした画像だが、ほんとうに美しい。

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今年の春、秋田に住んでいた伯母が他界した。
父の兄と結婚した伯母は元々は関東の人だった。
横須賀生まれのお嬢様で
学徒出陣していた伯父が寄宿先になっていた伯母の家で
出逢ったという。
ロマンスだなぁ。

伯父と結婚後は、生まれ故郷を離れ
三人の子供を育てながら岡山に数年
その後は伯父のふるさと札幌に長年住み
伯父が亡くなった後は、息子の住む秋田に移り。
年の暮れには、よく「きりたんぽ鍋」のセットなど送ってくれたものだ。

ミコが生まれた時には
伯母手作りの木目込みの
愛らしい日本人形を贈ってくださった。

遠くに住んでいたので
私にはさほど近しい伯母ではなかったけれど
夏休みに何度か出かけ、お世話になった時など
子供心に、伯母の周りだけ
ゆっくりとした空気が漂っているような
浮世離れしたところのある、品のいい人だなぁという印象があった。

ここには書けない家族の色々もあった。
それだけに、その心の奥底には
計り知れない
到底私には覗くことのできない深いものがあるようにも思えた。

もう少し近くで話す機会も多ければ
伯母の心情に少しは寄り添えたかもしれないし
教わることも多い人だったと思う。


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こちらは地元の花火。

先日伯母の葬儀のお返しの品が届いた。
自分でセレクトする形式のもので
何にしようか迷っていたのでこんな時期になってしまったけれど
笹の葉が清々しく描かれた大皿を選んだ。

みんなで囲む食卓に上れば
伯母を思い出すこともあるだろうし
時々は思い出話を子どもたちにしてもいいし。




# by sarakosara | 2017-08-28 06:23 | 想う

サボテンの花

サボテンの花が咲きました。
ミコが小学生のときに買ってきてくれたもの。
最初は手のひらにすっぽり収まるほどの小さな鉢に植えられ
色とりどりの砂が敷いてあって可愛らしかった。
カーネーションが定番だろう母の日に
トゲトゲのサボテン、ふた鉢。
けっこう斬新なプレゼントでした。

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でも、小さかったミコが
一生懸命選んでくれて
うれしそうに渡してくれたのだろうその頃を思うと
愛おしくて思わず笑みが。

だんだん大きくなって植え替えたりしたものの
一度も花をつけることはなかった。
それが20年近くたった今年
初めて花が咲いたのです。

たまにしか水もあげない窓辺で
小さな花は二日ほどでしぼんでしまうところ
幸運にも見つけることができた。

トゲトゲのてっぺんに咲いた小さな可憐な花。
嬉しくて、すぐに写真を撮りミコに送りました。
今頃になって、咲いてくれたよと。

思い返せば10年以上前
思春期の女の子たちは
みんなと一緒が好き
つるんで同じことをして盛り上がることの好き
そんな世界では
ちょっと生きにくいこともあったミコ。

私と違う個性に
私自身、母として戸惑うことも多かったし
実際ぶつかることもあった高校時代。
愛おしい気持ちと、持て余す気持ちが正直あったし
私のトゲにミコが傷ついたこともあったろう。

でも気づかれないほど小さなサボテンの花のように
人の気づかない傷みを感じることもできる子だと思ってきた。

そんなミコの良さに気づいてくれる人がいればいいなと思い続け
きっといると信じ、
そしてめぐり逢った人。
2月から一緒に住み始めてはいたけれど
8月17日無事その人の元へと入籍を済ませました。


先日はウェディングドレスの試着に。
お式は和装で神前式がいいと
今流行りのチャペルでの式も、可愛い花冠もいらないと言う。

なのでお色直しで着るドレスにはベールはない。
試着のこの日限りのベール姿。
こちらのドレスも試着のみ。


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別のシンプルなミコ好みの一着があって
係のお嬢さんに、こんなに早く決まる方は少ないんですよ
ご自分の好きなものがはっきりわかっているのですね
素敵なことですね、そんなことを言ってもらいました。
結婚式は来年の二月です。


15日までだったお盆休み
お墓まいり以外はどこも出かけずだったけれど
前半はミコが泊まりにきて
一緒に私たち両親からのプレゼントを買いに行きました。

昔だったらタンスやドレッサー
それに着物なんかを用意して持たせたのだろうけれど
一人暮らし同士だったから色々あるし
だから何も要らないと。
それで選んだのが、真珠のネッックレスとイヤリング。

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いくつかの中から好きなメッッセージプレートを入れられますよと言われ
三人でこの言葉を選びました。

お盆後半、ミコたちは彼の実家のある仙台へ。
その後、入籍を済ませ
京都にプチ新婚旅行、スマにも会ったようです。

二人の船出、身体に気をつけて、幸せにと祈ります。





# by sarakosara | 2017-08-21 22:33 | 家族のこと

京都で買いたかったもの

8月の今になって
冬の京都便りもどうかと思うのですが
あの時に、どうしても買いたかったものがあったので、
そのことだけ書いておこうと思います。

京都最終日はは朝から雨でした。
それを見越して前日に予定を詰めていたので
朝はゆっくり起き
散歩がてら朝昼兼用の食事をとって
そのまま残りの予定に向かうことに。

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出かけるときはさほどでもなかった雨が
だんだん強くなり、街中に着く頃はけっこう降ってきた。
しかし歩け、歩け。

スマが見つけてくれた河原町のcinq cafeというお店でランチ。
町屋をリノベーションしたという、居心地の良いカフェで
ランチも三人それぞれ違うものを頼み、ちょっとずつ交換。

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さて、ここから
私が今回行ってみたかった「裏具」という
オリジナル文具を扱うお店に向かう。

再び鴨川を渡って宮川町というところ。
雨だけど歩きで大丈夫?とスマ
靴の中に雨が染み込んできて正直少し気が滅入っていたけれど
地下鉄やバスを使うにも中途半端な場所
せっかくの京都だもの、歩くよ〜

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表通りから細い路地を入る
ひっそりとした町屋が続き
ここのどこにそんな店があるのか
うっかりしたら見落としそうな場所
小さな看板の小路をさらに奥に入った、こじんまりと小さなお店だった。


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そして買いたかったのは、これ。
吉帖という、暦仕立ての手帳。
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開くと、蛇腹折りのお経本みたいな体裁で、
一年366日(閏年の日数も含む)の誕生花、誕生色が載っている。
一年で使い切る日記帳ではなく
ここに大切な記念日や、家族、友人の誕生日など
心に留めておきたいことなどを
事あるごとに記していくもの。
これからずっと使い続けるつもり。

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この吉帖、いつも密かに読ませていただいている
言葉を交わしたこともないブロガーさんが紹介されていて
いつか京都に行ったらお店に寄ってみようと思っていたもの。
手頃な値段でもなく、手にとってしばらく迷ったけれど
一生ものと思えば、高い買い物じゃないなと思い切って買ってきました。

私の念願は叶ったので
そこから寅さん、スマの行ってみたいという
三十三間堂にまわり
スマの部屋に戻ったのはそろそろ暗くなる頃。

雨は少しもやむ気配がなく
三人とも足元がびしょ濡れ。
ゆっくりできるように新幹線は遅めをとっていたので
スマの部屋で一息ついてから
夕飯は一緒に近所の店「料理処はな」まで。

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雨粒が光るその向こうは川端通り
車のテールライトの赤が映り込む
その向こうは鴨川、そのまた向こうの町の灯りも滲んで見える。

心と手をかけた料理を楽しみながら
今までのこと、これからのこと、ゆっくり話すことができた。


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スマにとっては再びの学生生活、
私たちが思う以上にハードな日々であったようだが
残すところ、あと半年と少し。

5月の病気のことも研究室の皆心配してくれて
帰ってくるのを心待ちにしてくれていた。
スマなりに築いた場所なのだろうけれど、ありがたいことだなと思う。
夏休みもなく研究の追い込みに入っている。

子どものことは幾つになっても
たとえ大人になっても心配なものだ。
もちろん信頼し、本人に任せればと思っている。
思ってはいるけれど、
いざ助けを求められれば、放ってはおけない。

ひとつ心配し、ひとつほっとし。
そんな繰り返し。

いつしか立場は逆転していくのだろうけれど
それでも親はいくつになっても子を案じていると思う。


体調快復して、6月、7月は就活に忙しかったスマ。
ありがたいことに希望していた学校に採用が内定した。
内定の知らせをいただいた日も吉帳に記した。

来年は学生生活を卒業
新しい職場で、化学科の先生だ。
またひとつ、ほっとしている。




# by sarakosara | 2017-08-03 22:42 |