「ほっ」と。キャンペーン

引越し 梅香る頃

今年更新を控えていたミコの部屋。
折しも婚約者の彼も同時期に更新を迎えることがわかり
更新料も馬鹿にならない金額なので
お互いの親にもちゃんと挨拶も済んでいることだし
新居を探してしまおうかという運びになったのが
年明けのこと。

それから間もない先月末に
事後報告だけど、いいところが見つかったので
契約しましたと連絡があり
年度末の忙しい最中なので、
引越しするのならこの日しかないと決まった日取りが昨日、今日。
昨日は私も手伝いに行き
今日は職場の同僚が数人手伝ってくれる算段。

二人とも職業柄休みは取れず
どちらも独り暮らしの部屋からの引越しなので、
ほんとうにバタバタと慌ただしいことになった。

それでも即決しただけあって
ほんとうに明るい良いお部屋。
私はキッチンの荷ほどき、片付けを引き受け。
リビングと寝室は彼とミコで荷ほどき。

独り暮らし同士なので大概のものはすでにあるため
新しい買い物はダイニングテーブルのセットのみ。
ふたりで一緒に組み立てる声を
キッチンでききながら、
新しい生活が始まる初々しいときめきのようなものが
私にも伝わってくる。

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先週は荷造りの手伝い。
独り暮らし4年目のワンルームは
整理整頓されていて、荷造りもしやすいけれど
それでもダンボールがいくつも積まれていく。

一休みしようか
コーヒーでも飲みたいね。
うん、ちょうどひとパックインスタントのドリップコーヒーがあるから
入れるねと、ミコ。
あらかた食器も詰めてしまって
もう処分してしまおうかと
迷っていたカップがちょうど二つ。

まだ捨てないでくださいって言われてるみたいと、ミコが笑う。
ふたりでホッとひと息つきながら
ほんと、急に愛しくなっちゃうね、このカップ。とまた笑う。

あれよあれよと事が運び
結婚式を挙げるところからの心の準備がなかったので
急に手元から離れてしまうようで
すうっと心もとないような一抹の寂しさがある。

新居もとりあえずの賃貸だけれど
路線も二回乗り換え
何かというと行き来していた今までのようなこともないだろう。

よき伴侶を得たのだから
そのことはとても嬉しいのに。


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もう30年も前の父も同じような気持ちだったのだろうか。
それは父にしかわからないことだけれど
娘の嫁入りを一緒に祝い寂しさを分かつ妻はすでになく
ホッとする一方
手元で慈しんできた一人娘の私を嫁がせ
二十数年一緒に過ごしてきた日々を手放すこと
どんなにか寂しかったろうと思う。

自分が娘を送り出す時になって
あらためて父の気持ちに思い至る。
芋づる式に晩年の父のことまであれこれ思い出し
急にしんみりしてしまって
ミコの手前なんだか気恥ずかしくなって笑ってごまかした。

その日開き始めた父の庭の梅は
今朝はもうすっかり満開に近いほど開き香っている。




# by sarakosara | 2017-02-19 17:50 | 家族のこと

中村藤吉平等院店

京都二日目。
一日遅れで出発した寅さんと、三条の駅で待ち合わせ。
京阪の宇治駅で降りる。
宇治川の流れは速くて鴨川とはまた表情が違い
橋脚に当たる流れが水しぶきを上げていた。

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遅いお昼は、Mちゃんから聞いていた中村藤吉平等院店へ。
本店も近所にあるらしい。
お正月飾りの表玄関。

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お茶の老舗が開いている食事処で
噂を聞きつけたお客さんがひっきりなしに訪れ
着いた時は一時間待ちと言われたけれど
宇治川の流れを見ながら食事できるせっかくのロケーションと雰囲気、
諦めきれずに待つことに。

待ち時間がもったいないので、二人はどこか見てきたら?と言うと
スマが、この近くに世界文化遺産になっている宇治上神社があるよと言うので
行ってらっしゃいと二人を送りだす。

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海外からの観光客も多く
待ち時間のことや名前を書くシステムわかるだろうかと少し心配になる。
私の向かいで待っていた中国人らしきおばあちゃん二人
すっかり待ちくたびれて居眠りを始めた。
その間も次々と名前が呼ばれている。
順番飛ばされていないだろうか、呼ばれても眠ってわからないのだろうか。
少しは中国語がわかるし声をかけてみようか
それともお店の人に聞いてみようか
迷っている時に、離れたところからガイドさんらしき人が
お待たせしました〜と呼びに来た。
ほっ。

さてさて、人の心配している場合じゃない
気がついたらあと少しで順番。
慌てて二人に戻っておいでと連絡する。


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やっとありついたお昼。
二人が戻る前に席に案内されたので
まだ待っている人もいることだしと思い
私の一存で三人とも、生茶ゼリイの甘味もついた茶そばのセットを注文。

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生茶ゼリイは、そのものには甘みがなくて
お抹茶の濃い味がそのまま感じられる。
添えてあるあんこと一緒に食べると
甘みとほろ苦さがちょうどいい感じ。
甘いものが苦手な寅さんも、美味い美味いと。

ツートンのランチョンマットも素敵だった。
何色か組み合わせがあって、買うこともできる。
Mちゃん、美味しかったよ♪

お腹も満たされたので、平等院へ。









# by sarakosara | 2017-02-05 17:45 |

スマとの夜

Mちゃんと別れてからスマにすぐ連絡。
鍵を持って迎えに行くと聞いていたので
これから東山に向かうのでよろしくと。
ところがなかなか既読にならない
夕方は研究室からいったん出られると言っていたのに。
合鍵は持っていないので部屋に入れず
もう一度「おーい」と大声で。

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やっと連絡に気がついてくれて、無事にスマの部屋へ。
少し話してから
晩ご飯は近所に出かけて一緒にしようということで
スマは再び研究室に戻って行った。

好きに過ごしていてよ
近所を歩いてきてもいいんじゃない?
そうスマに言われていたので
まずはトイレと思って入ったら
あらやだ、掃除できてない。

部屋の掃除機だけはかけておいたよと言っていたけれど、
お風呂場も今ひとつな感じ。
私も泊まらせてもらうわけだし、ささっと掃除しちゃおうと。

となると、足りないものがあれこれ。
すぐ近所にスーパーがあるので買い出し。
翌朝の朝食やらなんだかんだ買って
トイレ掃除、風呂掃除、洗い物。

まぁ男の子の一人暮らし、
毎晩深夜まで研究室だというし
我が家の近くのミコのように
具合が悪くても来てやれない距離。
たまにこれくらいのサービスはしてやらなくちゃと
つい甘くなってしまう。

ひととおり掃除も終えて腰を下ろして時計を見ると8時。
そろそろお腹が空いたなぁ
でも、急かしちゃかわいそう。
テーブルの上の「あすなろ白書」を読み始めた。
昔ドラマがあったっけと
面白くなってきた頃、スマから連絡、9時をまわっていた。

連れていってくれたのは、神宮丸太町にあるクウカイという居酒屋。
こじんまりとしていて居心地のいいお店。
食材や味付けにもやはり京都らしさが感じられる。


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食べたら研究室に戻ると言っていたので
ビール一杯だけねと二人で乾杯。
ところがお料理は美味しいし、お酒も美味しいし。
スマも、ああたまにはいいかなぁと
リラックスモード。
もう誰も研究室には残ってないというし
やり残しもあと少しだから明日の朝早く行くよというので
うん、たまにはいいじゃない
好きなもの食べなさいよ、とまた甘くなる。

高校生の頃は一緒に出かける用事があっても
わざわざ隣の車両に乗るくらい
母親といることに照れや抵抗があったのに
今はこうして二人でお酒を飲むことができる。

カマをかけてもけして話さなかった話も聞けて
遠距離恋愛をしている彼女のこともスマの方から話してくれた。
そしてこれからのこと
研究、就職、山積みの難問もあること
時に弱音も垣間見せながらも
この先取り組んでいきたいことなど
彼なりに真剣に考えているビジョンがあることも知ることができた。

こちらにきた当初、夏になるくらいまでは
生きているのかと、本気で心配したこともあった。
そんな一年もなんとか過ぎていこうとしている。

ほろ酔いで外に出ると
底冷えのする夜気に震えあがる。
繁華街からは少し離れているので
もうあたりはすっかりひっそりと暗い。

自転車を押すスマにバッグを預け
コートのフードをすっぽり被って
両手で襟元を抑えても、カタカタふるえそうなくらい寒い。
でも、こんなふうにスマと歩く夜もいいものだ。
遠く離れて暮らして
お互いに今までとは違う気持ちで向き合うこともできたような気がする。


# by sarakosara | 2017-01-31 21:53 |

とっておきの時間

三月には、担任をする6年生の子たちを送り出すミコ。
初めてのことで、袴を借りて
私が娘時代に母が作ってくれた着物で行くことになった。
淡い桃色に薄紫の花がちらほらとある絞り
私も一度しか袖を通していないので、母も喜んでいると思う。


長襦袢に半襟をかけながら
和服が好きだった母は、しょっちゅう半襟がけをしていたなぁと思い出す。
穏やかな昼下がりの針仕事。


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この冬休みはあまり予定を入れず
大切な約束だけにして
ゆっくり自分の時間を過ごすことができた。

寒い日は、おでんを朝から仕込んだり。
りんごジャムを作ってスマに送ったり。


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一人のお昼。
食べたいものを食べたい量でゆっくりと。
眠くなれば寅さんに申し訳ないなぁと思いつつ、うとうと。
そんな申し訳ないなぁの気持ちを込めて?
圧力鍋で寅さんの好きな
ほろほろのお肉のビーフシチューを作ったり。



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宵闇がゆっくりとやってくる前の
夕方の静かな時間。
傾いて行く陽の光を惜しみながら本を開く。
この時間の光、閉じ込めてしまっておきたい。


テレビはほとんどつけず
いったい何をしていたのかなと思う
いや、これといって何もしていなかった
そんな二週間あまり。


やらなくてはならないことは、探せば山ほどあるけれど
あえてそれには手をつけず
でも、とっておきの時間になった。


さて、明日から仕事開始。

京都の話も続きます。



# by sarakosara | 2017-01-22 17:53 | 日々

嵯峨野さやさや

竹林を通り抜けると、やがて嵐山のメインストリート。
Mちゃんのお薦めの甘味屋さんがあるというのでついて行ったのは
渡月橋にもほど近い
X cafe(イクスカフェ)というお店。

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旧豪邸をリノベーションしてあるらしく
石庭や緑の美しいお庭を見ながら甘味が楽しめる
とても雰囲気の良いところ。

色々魅惑的なメニューがあったものの
思いの外お腹がすいていなくて迷った末に
京黒ロールの抹茶味を二人で半分に。
黒い生地は竹墨が練りこんであるとのこと
もっちりした食感で、クリームも抹茶のほろ苦で美味しい。
これなら二つ一人でいけたかも。
また足を運んでみたいお店です。

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Mちゃんとは、6年前の春に
山口のKちゃんも一緒に三人で大阪で会う約束をしていました。
しかし、その直前に東日本大震災が起きて
我が町は計画停電もあったり
関東圏も少なからず影響があり
私がとても旅行に行ける気持ちじゃなくなってしまって
大阪を味わってもらおうと、あれこれ計画を立てていてくれたMちゃん
三人で会うのは初めて、と楽しみにしていてくれたKちゃんには
ほんとうに申し訳ないことをしてしまったと
それからも時々思うことがありました。

今回ももし叶うなら
山口のKちゃんにも声をかけてみようかなと思ったのだけれど
お嬢さんがお産で帰ってこられるという記事を見ていたので
それはまたの機会にして
まずは、せっかくひとり時間の取れる今回
Mちゃんに会えたらいいなと
思い切って誘ってみたのです。

「あの頃楽しかったね〜」
と、Mちゃん。
「うん、楽しかったね」
そう返事をしてから、Mちゃんの言う、あの頃を思い出していました。

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あの頃はブログに夢中だった。
時に現実の生活がなおざりになるくらいに
仕事から帰るとパソコンに向かって
みんなの記事に一喜一憂して。
感情移入しすぎて友達との距離もうまくとれず
正直言って、私には楽しかっただけではなく
ほろ苦い思いもいっぱい詰まっている時間でした。

遠くの国の友達の話も出ました。
ちょうどオバマ大統領が誕生した時だった
彼女の気持ちも浮き立っていたっけ。
あれから8年。
どうしているのかなぁと思う人達は他にも何人か。
そして、もっと遠くの国へ旅立ってしまった大切な人もいた。
色々なことが変わって
それぞれの今がある。

ちょうど偶然
その「あの頃」を共有していた
別の友人から、年賀の返事のメールが届いていたので
行きの新幹線から
これからMちゃんに会いに行くこと
嵯峨野を二人で歩くことを伝えると
よろしくと一緒に、懐かしい歌のことが書かれてありました。
それからしばらく、この歌が頭の中でくるくる。



もうブログを書かなくなってしまった方も多いけれど
今も変わらず、こうして語り合える存在でいてくれる友達に感謝。

スマのところへ行く路線を念入りに教えてもらい
これからもよろしくね、
また会いましょうと、さようなら。
ありがとう、トックン。




# by sarakosara | 2017-01-22 16:17 |

あの日の景色

念仏寺からまた引き返し
もと来た分かれ道を今度は行きとは違う方へ。
そろそろお昼だねと、行き当たりばったり
惹かれる方へ。

寿楽庵、ここにしようか。
靴をぬいで板戸を開けると座敷にヤカンの乗った石油ストーブ。
ガラスの入った障子の向こうには庭が見えて。
知り合いのおばちゃんのお家に
お邪魔したかのようなほっこり落ち着く雰囲気の茶店。

二人とも、あつあつの鍋焼きうどんにしました。
お餅入り、具沢山。
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品のいいお店のおばちゃんが
地のレモンをいただいからレモン茶を作ったので
どうぞとサービスしてくださり
それから庭の方を指して、
このすぐ裏手に、寂聴さんの寂庵があるんですよ、
せっかくだから寄って行ったらと
これまた品のいい京言葉で教えてくれました。
ゆず茶ならぬ、レモン茶美味しゅうございました。

お薦めの寂庵さんをまわり
表札の瀬戸内というお名前に、おお、ここにいらっしゃるのかと感心し
嵯峨野の竹林方面へと向かう。

二尊院の山門に書かれた小倉山の文字を見ながら
百人一首より先に小倉大納言を思い出していたその時
Mちゃんが、
「あ、ここ!」と、指差した。
「ね、ここじゃない?」

左に折れると落柿舎がある曲がり角の向こうに
確かに私の記憶の中の風景が広がっていました。

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「そう、ここ、ここ!」
それにしても、Mちゃん、よく私の説明だけで
ここだとわかってくれて。
「やっぱり奈良じゃなかったのね」と喜んでくれた。

その時人力車のお兄さんがお客さんを乗せて立ち止まり
ここは数百年前から変わらぬ風景が広がっているのですよと
まるで私に伝えてくれているかのように話し、また走って行きました。

高校生の時に来た時は
反対にこちら側から念仏寺に向かったのでしょう。
なぜかこの道が印象的で記憶に焼き付いていたのです。
原っぱの向こうの茅葺き屋根が落柿舎。
その名のとおり、まだ柿の木には赤い実がいくつか残っている。
念仏寺をリクエストした一つの理由に
この風景をもう一度見てみたいという思いがあって
ほんとうに嬉しかった。
あの18歳の嵯峨野を追想することができました。

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嵯峨野の有名な竹林を通る頃は奥の道は
山の影になり仄暗くて、妖の世界。
二人一緒の写真を撮ってもらい
最後のお茶の時間。



# by sarakosara | 2017-01-20 17:15 |