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長い話

毎朝のドタバタの中、私の朝食タイムが15分あります。
それが、朝7時45分からのBSで放送される連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」の時間、
仕事に行く前のホッとタイム。
この「ゲゲゲの女房」は漫画家・水木しげる氏の夫人が著した本をもとにしたお話。
実話をもとにした面白さもあって、
子供の頃に慣れ親しんだゲゲゲの鬼太郎に出てくる妖怪たちが
しばしば登場しそうなところも楽しみ。
この中でも、物語の最初の頃に描かれた
子供の頃の主人公の布美枝と祖母との交流の場面が好きでした。
おとなしくて、引っ込み思案の布美枝のことを
あたたかく、見守りそっと背中を押してくれるおばあちゃん。
けして、焦らせず、じっくり話をきいてくれる人。
その中には深い愛情と思慮とユーモアがありました。

そんな祖母との時間の中に思いがけず懐かしく見たシーンがあります。
それは夏の夜、蚊帳の中で、兄弟と一緒に布団に入って
祖母の話す物語をきく場面。
その物語の中にもどこか怪しくも愉快で不思議な世界が展開するのですが
子供達はどきどきしながらも胸躍らせる。
いつもの決まりきった物語でも、繰り返しでもなぜか心おどるもの。
なんで子供は同じ話をききたがるものなのだろう。

そろそろ寝なさいという祖母の言葉に
もっと長い話をしてとせがむ布美枝。
すると祖母が、
「そうか、よしよしそれじゃあ、とくべつ長い話を」
そう言ってにっこりと笑うと、
「空から長~い、長~い・・」
と言ったところで、みんな笑って場面が変わりました。

この話をみた時に、あっ、これっ!
そう思ったのです。

私が幼い頃、布団に入って本を読んだり、物語をきかせてくれるのはもっぱら父でした。
浜田廣介を片っ端から読み聞かせてくれたり、
父の自作だろうと思われる、「くろまめ」という戦地での少年の物語、
なぜかこの物語はネバーエンディングストーリーで
どうしても結末がこなく、いつもいいところで続きは今度となる。
せがんでも、せがんでも、続きは今度。

それで、最後に私の決まり文句がありました。
「もっと長い話をして」
すると、父が話してくれるのです。
「空から、長い、長~い、はらまきが落ちてきました」
わかっているのに、ここがおかしくて、話してもらっては笑ったもの。

長い話_f0231393_11313970.jpg

ちなみに、この「長い話」というのは昔から語り聞かせにあるみたいなのですが、
定番の中でのこの長いものは、どうやら褌(ふんどし)らしい。
しかし、父のはちょっと変形版の、腹巻でした。
なぜ腹巻になったかというと、この頃父はいつもさらしの腹巻をきっちりと巻いていたのです。
身支度の時は洋服だろうが和服だろうがきっちりとさらしを巻く父、
きりりとして、気持ちがいいのだとか、
それはたぶん母がなくなる頃まで続いていた父の習慣だったようです。
それゆえ、父の話す長い話の腹巻は、よりリアルに私の目に浮かび、
青い空に、長い真っ白なさらしの腹巻が、
それこそ妖怪の一反木綿のように風に流れていくさまが見えるようでした。
バタバタした朝にふっと思い出した、暢気な話。
Commented by pika_No1 at 2010-04-24 15:22
寝る前におはなしを読んでもらう、私もよくやってもらいました(^^私の場合、4つ上の姉がよく読んでくれました。抑揚つけたり、ふざけた声で読んでくれたり、毎晩寝るときはわくわくしてました。しかし子供同士なので、私がもっと読んで、もっとおもしろく話して、なんてしつこく要求すると姉は怒り、しまいには布団の中で殴り合いの喧嘩になったりも・・。大人になるとそんな思い出もすごくあったかく感じます(^^。
Commented by トックン at 2010-04-24 20:49 x
「ゲゲゲの女房」、「いもたこなんきん」以来ひさしぶりに見ています。
「長~い長~い…」は第2話かな?
ちょうどそこは見逃してしまって、残念。
そんな定番があること知りませんでした。

子供のころって、ほんとに妖怪のすぐ隣で暮らしていたような気がするね。
見えないけど、そこにいる。
Commented by yuuko-11 at 2010-04-25 11:29
うん、ひさしぶりに見てますね。
そうそう、第一話は見ようと思ったら終わっていたという(笑)
子どものころって、夜のトイレなんてこわかったなあと…
今よりずっと夜が暗かったのかもなんて。
Commented by sarakosara at 2010-04-25 12:06
pikaさん
お姉ちゃんが本を読んでくれたなんて、いいなあ。
4歳違いだと、ちょうどお姉ちゃんも読むのが嬉しい歳の差だったのかも。
今日はどんなふうに喜ばそうか、今日はどんなお話かなって、
お互いにワクワクしたのかもしれないね♪
布団の中で姉妹喧嘩、きっとお姉ちゃんにとっても懐かしい思い出でしょう^^
昔枕元に小さな電気スタンドがあってね、その灯りと父のお話、
それがセットで思い出されます。
眠る前のこんな時間は誰にも思いで深いものですね^^
Commented by sarakosara at 2010-04-25 12:20
トックン
「いもたこなんきん」私も好きでした♪
私はいつもこの時間が朝食時間なのだけど、ゲゲゲ・・は最初から面白くて。
長い話、実は定番らしいの、私も「くろまめ」同様父の自作だと思ってたのだけど^^;
↓にその定番らしきものが。
http://www2j.biglobe.ne.jp/~minwa/nagai.htm
うん、妖怪の隣にいたのかも、見えないけど、そこにいる。
おばあちゃんの昔語りのような妖怪っていうとどこか愛嬌もあるような気がするけど、
見えないものを感じることが多かった、今はどこもかしこも明るくてきれいで
暗闇お化けも居所を探すのが大変よね。
Commented by sarakosara at 2010-04-25 12:27
夕子ママさん
やっぱり見てますか^^
テレビが終わったら、秋に映画化もされるみたいよ。
総合の方は今春から8時開始になったでしょう、
今までの時間と思ってるとつい見逃すワン(笑)
うん、やっぱり夜トイレに行くのは怖かったです。
廊下を曲がる時そこに何かいそうでね、目をつぶってばたばたと^^;
昔の夜はほんとうに真っ暗だったな、それが色んな想像力をかきたてたのね、
でもなぜかそんな暗闇が懐かしく思われるのも不思議。
Commented by marcella10 at 2010-04-26 09:25
父もさらしをいつも巻いていました。あれがないと途端にお腹をこわすらしくて(笑)
「さらし」と「ゲゲゲ」がリンクして、思わず「一反木綿」を連想。^^;私も毎朝見ています。
Commented by chirumegu at 2010-04-26 16:32
わしも、、、
今朝から見始めますた(^^ゞ
子ども言うて、語り聞かせが好きじゃね。
話の先は分かっとっても、わくわくしながら聞いとったね。
ふぅ~ん、
さらしを巻いておられたんかぁ。
お腹にさらしといえば、やっぱ時代劇が思い浮かぶな。
Commented by sarakosara at 2010-04-27 05:50
まる子さん
まるちゃんのお父さまもでしたか、当時はけっこう身に着けている人が多かったのかな^^
>あれがないと途端にお腹をこわすらしくて・・
わかるわかる! 父も言ってましたよ、なにか心もとない感じがするのかも。
まさに一反木綿(笑)
妖怪といっても「小豆とぎ」なんかは民話の世界ともつながっていそう、
出会って一週間で結婚にもびっくり、これからのお話も楽しみです。
Commented by sarakosara at 2010-04-27 05:59
ちるめぐさん
うふふ、ちるちゃんも昨日からゲゲゲ仲間^^v
そうなんよね、何度も何度も同じ話をせがんで、同じところで笑って。
お話の中のお祖母ちゃん、野際陽子さんだったのだけど、
子供達は「おばば」って呼んでね、そのおばばの存在がとってもいいのよ。

うふふ、そうね、時代劇^^
で、時代劇のさらしというと、私は一番に「一心太助」を思い出すな、
お祖母ちゃんや父が好きな時代劇、よく一緒に見たの(^^ゞ
Commented by ゆゆ at 2010-04-27 12:11 x
さら子ねーさん、こんにちは^^
いつでも夢を~♪と昔母が歌っていたのを、ふと思い出しました。
今日は一日中この曲が頭から離れなさそうです~

私はすぐに寝る子だったので全く覚えてないです^^;
あ。でも、最近は水差しのぶーちゃんに、
寝る前に昨日見た夢の話をしてもらってます。
でも、それがとても不思議な話ばかりで気になって目が冴えたりするんですよ~
空から長い長いはらまきが落ちてくるお話、おもしろいなあ^^
小さなさら子ねーさんだけが聞くことが出来た特別なお話、
ステキなお父さまです^^
Commented by sarakosara at 2010-04-28 06:34
ゆゆちゃん
おはよう^^
お母さんが歌ってると幸せな気持ちになれるよね
いつでも夢を~♪いいなあ。
私の母もよく歌っていました、洗濯物を干しながら歌うの好きだったな。
ゆゆちゃんは遊びつかれてすぐにぐっすりだったのね^^
そういえば私も父にお話をきかせてもらう前、
もう少し小さな頃は、母が歌ってくれる賛美歌の子守歌で寝ていました。
二番まで歌い終わらないうちに寝てしまったと、母が笑って言ってたのを思い出します。
ゆゆちゃんの目が冴えるほど不思議な水差しのぶーちゃんの夢の世界、
私もちょっとのぞいてみたいな。
眠りにつく前のこんな時は心も身体もほどけて、ほっとする時間ね^^
私にも幼い日のそんな時間が大切な思い出です
by sarakosara | 2010-04-24 11:35 | 日々 | Comments(12)

遠きにありて思ふもの


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