元気です
2010年 05月 09日
外を歩きながら緑の風をうけて、
母の指先に薄紅のマニュキュアを塗ってあげた日のことを思い出していました。
母は茶の間の父の座椅子にもたれてうとうとしていました。
祖母の丹精した草花であふれた庭の緑が反射して
部屋は心地よい金魚鉢の底のようでした。
疲れきって休んでいた母が目をあけ、
私はふっと母にマニュキュアをしてあげようと思い立ちました。
桜色した指先が母に元気をくれるようで、
とってもいいことを思いついたようで、
私はひとつひとつ母の爪にマニュキュアを塗っていきました。
母は目を細めながら、
「こんないい母の日はないな」
そう言って喜んでくれました。
元気でいてくれたならもう80代、
どんな母だったでしょう、年を重ねたあなたが想像できません。
そんな時、友達のお母さまの話をききながら、母と重ねてみます。
そして、どうぞお元気でと願わずにはいられません。
あれからもう30年の時が流れました。
お母さん、あなたの時はあのままとまってしまったけれど、
私はもうじきあなたの歳においついてしまうけれど
私は元気にしています。