紫陽花

とりたてて予定のない三連休、
ここずっと週末に用事が立て込んでいたので、こんな週末、ほっとする。
書き遅れていた北海道の記事、
あの旅からもうひと月が過ぎてしまった。


札幌二日目。
午前中にお墓参りに行くことにする。
地下鉄の南平岸という駅からも徒歩で行けるが
天候と父の体力を考えてタクシーで移動。
前日の変わりやすい天気というよりも、
この日は朝からどんより、重い雲からは今にも雨が落ちてきそう。
なんとかお墓参りのうちだけは降らないでくだいという願いもかなわず
途中から雨が降り出した。

ホテルの近くの花屋さんがまだ開店前だったので
霊園で調達しようと思っていたのだが
到着してみると、仏花もお線香もない。
我が家の墓地も都営の霊園で、現地でもひととおり売っているので
公営の霊園ならあると思い込んでいた私の手抜かり。

正門横の事務所でお墓の場所を確認する。
もうずっと来ていないので、場所がわからないのだ。
事前に秋田の伯母にたずねたのだが
なにしろ広い霊園なので、説明がいまひとつわからない。
事務所ではお墓の持ち主の名前で検索できるときいていたので尋ねると、
丁寧に案内地図に場所を書き入れてくださった。

ついでに、近くに花屋がないかときくと、
駅まで行くばあると。
お線香はよかったらこれをどうぞと、
ロウソク二本とマッチと一緒に
お線香をひと束封筒に入れてくださる。
お線香くらい家からちゃんと持参するべきだった。
心遣いに感謝、感謝。

f0231393_1356309.jpg

父は事務所で待たせてもらうことにして
私は歩いて10分ほどの駅の近くの花屋まで行く。
細かい霧雨が本降りになってきて
父のところへもどって閉じた傘は雨でぐっしょり。

どうしたものかなぁ、もう少し小降りになるのを待とうかとも迷ったが
雲の切れ間も見えない。
傘で歩いても大丈夫?
そう父にきくと、大丈夫だから行こうと言う。
よっしゃ、待っていても仕方ないねと事務所にお礼を言って歩き始める。

平日の雨降りとあって、人の姿はほとんどない。
お墓はゆるい上り坂をあがった奥手のほうになるらしく、
父とゆっくり歩いていく。
雨に濡れながら紫陽花が咲いている。
札幌はまだ紫陽花が咲いてるのだなと思いながら歩く、
そういえば、北海道では桜のあとに梅が咲くとおしえてもらったこともあった。
北国の花々がしらせる季節はまた違うのだなと思う。

シラカバの林をくぐり、スロープをのぼりながら、
葉の緑が少し明るくなったように感じる、
林を通り抜けるころ、あれ?と思うと雨があがっていた。

f0231393_13572721.jpg

雲が切れているわけでないけれど、
幸運にも雨があがってくれたのだ。
あとで知ったことには、この夏に札幌郊外に住む叔父と叔母が
通院の帰りに寄って草取りをしてくれたとのこと。
ふたりとも身体をこわしていて、大変だったろうにと思うが
お墓がきれいになっていて、ありがたかった。

ロウソクをたて、お線香をつけ、お参りしたあとに
しばらく父とお墓の前で立ち話をする。
ときどき風がロウソクの火を消してしまうのだが
いっきに消えることがなく、
ひとつが消えたら、もうひとつに火を移し、
もうひとつが消えたら、もうひとつへを繰り返した。
同時に消えてしまったら帰ろうねと決めたのだが
これがなかなか消えない。
ふーっと、消えたろうと、思うと復活する。
こうなったら最後まで燃えてくれるといいね、
そう言いながら、父と一緒の墓前。
墓石の横に刻まれた祖父母や
8人いた父の兄弟の話もしてもらった。
亡くなった年齢も刻まれているが
十八、二十歳、中には一歳という文字も刻まれていて痛ましい。
祖母もつらかったろう。

父は次男、上京してからはお墓参りに帰ることもあまりなく
母がなくなった30年前に東京にお墓も建ててあり、
ここに父が入ることはないのだけれど、
ひさしぶりの墓参に、穏やかな表情に安堵の様子がみえる。

f0231393_13582772.jpg

まさに風前の灯を繰り返しながら、とうとうロウソクは最後まで燃え尽き、
その間雨が降ることもなく、
よく消えなかったね、と父と話しながらお墓をあとにしようとしたとき、
待っていたように再び雨が落ちてきた。
by sarakosara | 2011-10-08 14:04 |
<< 小樽でお昼 柿の実色した水曜日 >>