小樽でお昼

降り止まない雨に、いったんホテルに帰ろうかと迷うが
帰ったらそのままあれよ、あれよと時間がたってしまうと思った。
でもこの雨の中、うろうろ歩き回るのも父にはきついだろう・・迷う。
実は今回ちょっと行けたら行ってみたいところがあった。
小樽北運河。
観光用に整備された南の運河ではなく、
今も生活のために活きている運河とのこと。
私ひとりなら、間違いなく行って歩き回ってみたい。
ただ、今回ばかりは父のことを優先しないわけにはいかない。
今回の大きな目的である、まずひとつ、札幌の地に立つこと、
そして墓参。それから最後に病気療養中の叔父を見舞うこと。
この中で二つは果たすことができたけれど、
空港と札幌の中間地点に住む叔父のところは
最終日に空港へ行く途中に寄るつもりをしていた。

「どこかここだけは行ってみたいというところがあったら、午後に行ってみようか」
父に相談するが、どこもないと言う。
小樽は父が学生時代を過ごしたところ、
「それならどうせ雨だけど、お昼だけでも食べがてら小樽に行ってみない?」
思い切って言ってみた。
函館本線の快速なら30分ほど、それほどきつい移動じゃないはず。
最悪駅の近くでお昼を食べてふらっとして帰ってきてもいいと思ったが
あわよくば北運河という下心もあったし、
もしかしたら海の近くの天候は札幌と違うかもしれないという淡い期待もあった。
おまえに任せるよとの父の言葉に、迷っていてもと小樽行きを決める。

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列車の窓から雨にけむる風景をみながら走る、
やがて見えてくる海。
私は北海道の海をみながら走る列車が大好きだ。
昨年行った祖母の故郷増毛、留萌から増毛に向かう冬の海
そして20代の頃、母の生まれ故郷静内に向かうときに見えた
日高本線からの海も忘れられない。
この日は雲を映して重い色をしていたけれど、
車窓いっぱいに海が広がった。

小樽駅到着。
私の一人旅のときは、たいがいガイドブックを持ち歩かない。
現地の駅で、簡単な観光地図をもらうか、
現地の人にきいて、歩いてしまう。
今回も来られるかどうかわからなかったので、下調べもざっとした程度、
いつも同様駅で案内地図をもらってみた。
駅からまっすぐ続く運河方面への道、
天気がよかったら、少し歩いてお昼の場所を探してみるのもいいのだろうが、
無情な雨は小樽にも降っていた。

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父は少し疲れたのか、ぼんやりと雨の街を見ているだけ、
何はともあれお昼だと思い、
タクシーの運転手さんに訊くのが一番かと
北運河の方でお昼が美味しいところはないだろうかと尋ねる。
それならいいところがあるよと、請合ってくれた。

着いたのは北運河の鱗友朝市にある、小さな食堂。
市場で買った魚の料理もしてくれるらしい。
カウンターを囲む椅子席が10席ほど、なんとか席があったが
少し窮屈で父がゆっくりできないかなぁと気になる。
父が頼んだのが、銀鱈定食、私は鮭とイクラの親子丼、
魚のアラの味噌汁がついてご飯のおかわりもできる。
父は美味しい、美味しいと、私にも自分の魚を食べろと喜んでくれた。

今回の旅の間中、どうも私は食事を楽しめなかった。
ふだんはいつも毎食一緒に父と食べているわけではないので
父の食事の量が読めない。
我が家に食事にきても、家族みんなで食べるので
父の食事量もなんとなくしかつかめていなかった。
もともとご飯を残せない性分の私、
作ってもらったものは完食しないと申し訳ないと思ってしまうので
父が食べ切れなかった場合のことを考慮しながら自分が何を食べようか、そこから迷い、
食べている間も、
時々咳き込みながら、マイペースで食べる父のことが気になってしまって、
もういっぱいなのかな?無理して食べているんじゃないか?
なんだか落ち着かない。
北海道流にいうと、あずましくないのだ。
つくづく貧乏性だなぁと思う。
で、結局私のやきもきはよそに、父はいつも亀の歩みのようにゆっくりゆっくり食べながら
完食してしまうのだ。やれやれ。
by sarakosara | 2011-10-10 07:58 |
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