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旅は次への想い

「みんな起きてごらん!」
キヌちゃんの声でみんな眠い目をこすった。
なになに?
「富士山が見えるよ〜」
二日目は雨だとばかり思い込んでいたから、キヌちゃんの言葉にびっくり。
まだ少し薄暗い外を見ると、
まごうことなき富士山の姿。
みんないっせいに歓声をあげてしまった。
空には雲がかかっているけれど、遠くにうっすら朝焼けさえみえる。
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じゃじゃ〜ん!
わぁ信じられない。
やったぁ〜
ほんとうによかったね、日頃の行いのせいだわ。
誰もいっぺんに目が覚めて、
昨日から待ちこがれていた富士山に釘付け。
最初から見えていたら、こんなに大騒ぎしてまで喜ばなかっただろうと
そんな気もする。
外は前日から大荒れだと言われていた風が強く吹いているようだ。
むしろこの風が雲を吹き飛ばしてくれたのかもしれない。
いつまた雲にかくれるかわからないから
さっそく最上階の展望台に行ってみようと
みんな浴衣に羽織ものだけして展望台に行った。
強い風がゴーゴー吹いていたけれど、威風堂々の姿。
ちょうど頂上の上に白いかぶりもののような雲がかかり
そんな様子も面白い。
雪化粧もだんだん下まで降りてきているところなのだろう。

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朝食の食堂では湖がたっぷり眺められる窓のそばの席に通され
二日目の朝は、富士山と湖、
ゆうべ見ることのできなかった両方を堪能した。
私もぐっすり眠って元気いっぱい。
前夜ほとんど食べていないから朝食の美味しいこと。
富士山が見えたことで、幹事もほっと胸をなでおろしたというわけです。


この日はレトロバスに乗って、湖周辺の見所を散策。
朝のうちザッと一雨あったけれど
その後薄日が射し始めたとおもったら
みるみるうちに嘘のように晴れ渡り、こんな青空に。
雨に打たれたあとの紅葉に日がさしてそれはきれいでした。

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実はこの旅行、セーコちゃんの快気祝いとともに
キヌちゃんの第二の出発を応援するような意味合いもあった。
18歳で家を出てから40年ぶりに故郷に帰ることを決めたキヌちゃん。
老親ふたりが住む故郷でお父さんを手伝いながら
あらためて農業をしてみたい
そう決めてからご主人の仕事のきりがつくまで待っていた矢先
お母さんが寝たきりになってしまった。
若い頃なんにも親孝行してこなかったから
今行かないときっと後悔することになると思うんだとキヌちゃん。

キヌちゃんが東京とわが町で過ごした40年間の
ほとんどの年月をつかず離れずで
ずっとともに過ごしてきた。
私の恋愛事情もぜんぶ知っているし、母が亡くなった30年以上前の時も
そばで力になってくれたキヌちゃん。

今までは会おうと思えばいつでも会えた
仕事から帰ると、ドアノブに田舎の野菜の入った袋がぶらさがっていた。
毎年二月には増上寺のお参りにつきあってくれた。
きっと、そのどれも叶わなくなる。

でも誰しもそれぞれ人生にはいくつかの岐路があって
キヌちゃんにはきっと今もひとつのその時なんだと思う。
淋しい気持ちはあっても、
この彼女の決断を応援してあげたいと思う気持ちのほうが強くなった。

セーコちゃんだって、サッちゃんだって、みんな同じ。
今回末っ子のサッちゃんも、
今年の二月にお父さまを亡くされてから
気丈だったお母さんに色々な異変がおきた。
いつもその大変な話しを漫才さながらのリアクションで
みんなを大笑いさせながら話してくれるサッちゃん。
でも、ほんとはどんなに大変だったことか。
セーコちゃんも、病み上がりだというのに
実家の両親、同居のお義母さんもみんな体調がすぐれず
自分のことはさておきで、飛んで歩いている。
私はみんなの話しをきいてあげることくらいしかできないけれど
これからも旅は続けようねと言っている。

午後になって、また少し雲が出てきたけれど
太陽はずっと隠れずにいてくれた。
遅いお昼でほうとうを食べて外に出ると
風に揺れるススキが雲間の陽をうけて、きらきら。
ほうとうで温まった身体には風が心地いい。

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帰りの列車はみんな爆睡、
またひとついい思い出ができた。
今度の旅行、あまり間をあけないように
再来年くらいがいいなぁと、サッちゃん。
お任せあれと、頼りない幹事。
今からじっくり楽しいプランを考えてみよう。
Commented by koko-ran at 2013-12-01 22:50
うわ~~!
富士さん見えたんだ!!
お天気心配してたんだけど、
やっぱ日ごろの行いがいい人は違うね♪

ハラハラしたけど、とらぶるも笑って終わって本当によかった、
この歳になるといろいろあるもの、
合縁奇縁の4人旅がずっと続きますように、幹事さんお疲れ様でした^^
Commented by Gabrielle at 2013-12-02 07:02 x
きれいですね。
いろいろありのご旅行?でしたけど、最後に富士山でよかったですね。
なんというか、こっちのモンブランを見るとみんな気が引き締まるとかいいますが、富士山はまさにそれ。でもここ2日間私の周りは富士山ブームなのか、友人がみんな富士山の写真をアップしてる??
なんかひきつけるものがあるのかしら?

私も大半の友達はみんな日本ですが、facebookやら、メイルやらで距離感は感じません。キヌさんもきっと、ふらっとさらこさんに会いに出かけてきてくれると思いますよ。


Commented by sarakosara at 2013-12-02 23:09
ここさん
そうなの、今回幻の旅の目玉になってしまうかと思った富士山、顔をみせてくれました^^
この日は全国的に大荒れだって予報だったものね、私たちも二日目はちょっと諦めモードで予定を組んでいたのだけど、思いがけずお天気にも恵まれて。
やっぱり日頃の、ってことかしらん^^v

メインディッシュが何も食べられないという食いしん坊には辛い試練?だったけれど、これも旅の一ページ^^
みんな色々あるよね、話題も親の事自分の健康とか、ひと頃とはずいぶん様変わりしました。それでも涙がこぼれるほど笑っておしゃべりできる友との旅、ここさんもだし、今がんばっている友達にエールを送れるような旅は続けたいな。
よがんすもまた行こうね^^♪
Commented by sarakosara at 2013-12-02 23:22
ガブさん
たった一泊二日でも、盛りだくさんに色々あるものだなぁと^^
でも富士山が見えてほんとうにホッとしました。
今回の旅の行き先はキヌちゃんのリクエストだったの、だから富士山を見せてあげたかった。みんなで一緒に見たかった。そんな思いが天に届いたのかな。
神さまが大荒れだという風を使って雲を吹き払ってくださったみたい。
富士山は霊山というから、富士山そのもののパワーもあって姿を見せてくれたともいえるかな^^

そっか、ガブさんも友達と遠く離れているけれど、繋がる事ができるのね。
今はさまざまなツールがあって、地球は狭いなって思う。
ガブさんのことだって、こんなに身近に感じられる。
キヌちゃんもブログでも書いてくれればいいのだけど、まったくのパソコン音痴でスクロールもあぶなったしいの^^;
若い頃から書くのが好きで自費出版をしたこともあるし、写真もセンスがある。ブログを書いたらすごく面白いと思うんだけど。
よっしゃ、私がひとつブログ指南でもしてみようか^^
Commented by ゆゆ at 2013-12-04 08:13 x
おお。ふじやま!!じゃじゃ~ん!って言いたくなるくらい堂々とかっこいい富士山。無事に見ることができて良かった。幹事さんお疲れさまでした^^それにしても、朝食を食べながらの富士山がみえるなんて、いつまでも食後のお茶を飲みながらおしゃべりしたくなっちゃう。

友達って不思議。環境が変っても何年会ってなくても、会えばすぐにいつものように戻っちゃう。わいわい賑やかな4人の女子旅、次はどこかな^^
Commented by sarakosara at 2013-12-05 19:40
ゆゆちゃん
この日の朝は、ほんとに諦めきっていたので、じゃじゃじゃじゃ~ん!
くらいなな気分でした^^
実は我が家の屋上からも天気のいい日なら姿が見える富士山なのだけど、間近でみる富士山、頂を雪化粧した富士山は格別。やっぱり特別な山なんだろうな。
幹事さん大慌てのシーンは書ききれないくらいあるの。
ここで暴露しちゃうと、二日目の悪天をきいて、キャンセルしていたオプションが連絡不行き届きで、時間に来ないと問い合わせ。河口湖駅で私のフルネームでアナウンス。
いやぁこっちのミスじゃないのだけど、焦った焦った^^;
いっつも大笑いの面々、家に帰ればそれぞれ抱えていることもあるけれど、しばし忘れて過ごせる時間って大切ね。
それぞれの今までもあって、今もある。あの時はさ、っていつも話しが出るの。共有できる思いがあるって幸せ。
再来年はどこにしよう。今から色々って思いながら、またきっと直前に慌てるんだと思う^^
Commented by oriori-marron at 2013-12-06 09:33 x
富士山がこんなに美しく見えるなんて、本当に日頃の賜物ですね^^♪
すごいなぁとコメも落とさず見とれてていました。
前日に見えなかったから感動はひとしおだったでしょう!
晩秋の彩りの素晴らしい光景が広がって、
快気祝いとお餞別のよい記念の旅行になりましたね^^V
Commented by sarakosara at 2013-12-08 14:59
おりおりまろんさん
あは、お恥ずかしい、日頃がかなりあやしいので^^;
でもほんとうに朝起き抜けの富士山は格別でした。大げさかもしれないけれど、諦めていただけにね。
日本晴れの富士山もみごとでしょうが、こんな雲竜和紙を広げたような雲の下の富士山もなかなかでしょ。
雨の後の光と雲、最後のすすき野原もやさしげな光が満ちて晩秋の気持ちよい一日でした。
私たちの年齢になると色々人生の岐路に立つ時もありますね。
私は親の事は卒業しちゃったけれど、周りは今まさに親御さんのことでバタバタ。自分の健康のことでも心配事があったり。
でも共有できる友がいると、ちょっとだけ肩の力が抜けて笑ったりできるんですよね^^
そんな時にでかけた今回の旅行、きっと何かにつけて思い出すものになりそうです。
by sarakosara | 2013-12-01 22:07 | | Comments(8)

遠きにありて思ふもの


by sarakosara