立冬の北陸 東尋坊
2015年 03月 01日
あれから4ヶ月の
どこまで行ったっけ?状態の北陸旅行ですが
旅は最終日、コメントもちょっとお休みして
スピードアップします、もうちょっとだけおつきあいください。
五箇山から直行したのは、加賀温泉。
ここでもう一泊しました。
こちらの夜のことなど
美味しいことはあとでまとめて。
さて、翌日最終日は雨模様だったのですが
この日は一日定期観光バスに乗ることにしていたので
運転はおまかせで、のんびりゆきましょうと。
まず向かったのは東尋坊。
東尋坊は海食によって海岸の岩肌が削られた
輝石安山岩の柱状節理という
高さ約25メートルの岩壁が続く地質上極めて貴重な断崖。
福井県坂井市三国町にあります。
30数年前まだ独身の頃
友達と金沢から京都に向かう途中に
このすぐそばに泊まったことがありました。
あの時も真冬の2月ころだったはず
空は時雨れて波が荒々しく人影もあまりなかったけれど
泊まった小さな旅館で夕食に出た蟹が
それはそれは美味しかったことをおぼえています。
この日も細かな雨が時折落ちてくるあいにくの天気
足場もあまり良くなくて
そろそろと突端まで行こうとする寅さんに
ストップ、ストップと声かけ。
切り立った岩場をみながら
ガイドさんの話してくれた言い伝えを思いました。
昔むかし、平泉寺というお寺に
東尋坊という怪力の悪僧がいて
誰も手がつけられず
困り果てたほかの僧侶たちが、東尋坊をだまして誘い出し
酔って眠ったすきに、この海へ投げ入れてしまったところ
にわかに一天かき曇り豪雨と雷鳴
東尋坊の怨念が他の僧をも絶壁の底へと吸い込んでいった。
それ以来この断崖を東尋坊と呼ぶようになったと。
そんな伝説がよく似合う風景
ことにこんな雨の日は下から吹きあげてくる風に足がすくみ
そろりそろりと、一歩ずつ歩を進めても
小さな岩がごつごつで滑りそうになる。
傘をさしながら危うい足元だったので
写真もほどほどに引き返してきました。
すると、どこからともなくいい匂いが。
土産もの屋の店先の大鍋の蟹汁でした。
蟹大好きの私の様子をみて
寅さんが、食べる?と訊いてきたけれど
さすがに朝食を食べて間もないし
バスにもどる時間もあるしで、断念。
しかし、ほんとうに心残りするほどいい匂い。
東尋坊の蒼茫とした風景に
ほっとする一こま。
30数年前同様、また東尋坊の風景に
蟹の記憶が一緒に刻まれることになりました。