あの日の景色

念仏寺からまた引き返し
もと来た分かれ道を今度は行きとは違う方へ。
そろそろお昼だねと、行き当たりばったり
惹かれる方へ。

寿楽庵、ここにしようか。
靴をぬいで板戸を開けると座敷にヤカンの乗った石油ストーブ。
ガラスの入った障子の向こうには庭が見えて。
知り合いのおばちゃんのお家に
お邪魔したかのようなほっこり落ち着く雰囲気の茶店。

二人とも、あつあつの鍋焼きうどんにしました。
お餅入り、具沢山。
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品のいいお店のおばちゃんが
地のレモンをいただいからレモン茶を作ったので
どうぞとサービスしてくださり
それから庭の方を指して、
このすぐ裏手に、寂聴さんの寂庵があるんですよ、
せっかくだから寄って行ったらと
これまた品のいい京言葉で教えてくれました。
ゆず茶ならぬ、レモン茶美味しゅうございました。

お薦めの寂庵さんをまわり
表札の瀬戸内というお名前に、おお、ここにいらっしゃるのかと感心し
嵯峨野の竹林方面へと向かう。

二尊院の山門に書かれた小倉山の文字を見ながら
百人一首より先に小倉大納言を思い出していたその時
Mちゃんが、
「あ、ここ!」と、指差した。
「ね、ここじゃない?」

左に折れると落柿舎がある曲がり角の向こうに
確かに私の記憶の中の風景が広がっていました。

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「そう、ここ、ここ!」
それにしても、Mちゃん、よく私の説明だけで
ここだとわかってくれて。
「やっぱり奈良じゃなかったのね」と喜んでくれた。

その時人力車のお兄さんがお客さんを乗せて立ち止まり
ここは数百年前から変わらぬ風景が広がっているのですよと
まるで私に伝えてくれているかのように話し、また走って行きました。

高校生の時に来た時は
反対にこちら側から念仏寺に向かったのでしょう。
なぜかこの道が印象的で記憶に焼き付いていたのです。
原っぱの向こうの茅葺き屋根が落柿舎。
その名のとおり、まだ柿の木には赤い実がいくつか残っている。
念仏寺をリクエストした一つの理由に
この風景をもう一度見てみたいという思いがあって
ほんとうに嬉しかった。
あの18歳の嵯峨野を追想することができました。

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嵯峨野の有名な竹林を通る頃は奥の道は
山の影になり仄暗くて、妖の世界。
二人一緒の写真を撮ってもらい
最後のお茶の時間。



by sarakosara | 2017-01-20 17:15 |
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