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糺の森

二日目は午後から天気の崩れが予報されていたので
午前中に外を歩くところをまわろうと
まずは下鴨神社へ。
ここの正式名称は加茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)というのだそうで。
鴨、加茂とは神のこと
御祖とは親のこと、
要するに親神をお祀りしておる社という意味だそうです。

五月の葵祭は有名ですね。
ちょうど来年は21年ごとに行われる式年遷宮にあたるとのことで
今も少しずつ改修が行われているとのこと
伊勢神宮の式年遷宮と大きく違うのは
伊勢が古い社の隣にまったく同じものを新築するのに対し
下鴨神社は社殿が国宝などの指定されたため
現在は大修理をもって式年遷宮とするということになったそうです。

ちょうどこの夏の日はお日柄が良かったようで
結婚式があげられており
白無垢の花嫁さんを何人かみかけました。

縁結びの神様が祀られている「相生社」を
ミコとふたりでお参り。
このとなりには、「連理の賢木」と呼ばれる不思議な御神木があって
神様の御神威によって、二本の木が一本に結ばれたといわれ、
年をとって枯れると、不思議と糺の森のどこかに
自然と跡継ぎの木が生まれ
現在の御神木も4代目にあたるのだそうです。
古より、京の七不思議のひとつとして知られる「縁結びのご神木」のお話。

その御神木が生まれるという
糺の森(ただすのもり)
鴨川と高野川の合流にある下鴨神社の社叢で
太古の原生林の植生を残す貴重な森林
数々の社殿と一緒に世界文化遺産の登録されています。
人が小さく写って、この森に囲まれた
参道ののびやかさがわかるでしょうか。

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そもそも糺の森の名前は
ミコやスマから教えてもらいました。
それというのも、京大出身の森見登美彦氏が
たびたび作品の中で登場させていたのが糺の森。
古本市で登場したのが前述の「夜は短し歩けよ乙女」
糺の森は「糺」を「ただす」と掛けてよく和歌で詠まれたり
枕草子、源氏物語、大和物語、太平記、謡曲「班女」、仮名草子「浮世物語」など
昔から文学作品の中にもたびたび登場しているそうです。

ミコから教えてもらったその場所を
今回はふたりで歩くことになりました。

この作品に登場する「黒髪の乙女」は
ちょっとエキセントリックな女の子。
そんなひとつひとつがミコの琴線にふれたようで
ミコの愛する乙女だったのです。

ミコやスマにはたびたび
お母さんやお父さんの育て方のせいで
生きにくい子になってしまったと言われることがありました。
けして責める口調ではないものの
価値観が少しふつうと違う事に
苦労してきたこともあったのでしょう。
まだ男の子なら、それがいい意味での個性になるかもしれない
事実スマは愉快な友達に恵まれ
それなりに壁はあるものの、自分なりの楽しみをみつけるのが上手。

でも、みんなと一緒であることにアイデンティティを見いだすことの多い
女の子の場合
それは生きにくいことにつながるかもしれない。
中学生の頃、みんなで一緒にトイレに行くことに
違和感を感じていたミコ。

風変わりであることをものともせず
魅力的な存在である黒髪の乙女。
友達との関係に悩む事も多かった青春時代。
ミコにとっては憧れであったのかもしれません。

でもここ数年そんな自分をみとめ
ずいぶん穏やかになり
また不思議なもので
自分が変化するとまわりも変わり
そんなミコの個性を認め愛してくれる場も増えてきたように感じます。

思い返せば根っから独立独歩
赤ちゃんの頃から砂場で遊ぶ友達をよそに
ひとりで公園をらどんどん歩いていくミコ。
まだ2歳前なのに、階段をのぼり
植え込みのわきの縁石の上を歩き、じっと坐ることをしませんでした。
ママ友を作りたかった私にとって
砂場で子どもを囲んでおしゃべりするお母さんたちを横目に、
トコトコ歩いて行くミコを追いかける日々
ちょっとミコがうらめしく思った日もありました。
育て方うんぬん以前に
ミコが本来持っていた個性でもあったのかもしれない。

このごろ小学校、中学校時代のことを話すことがあります。
私が思ってもいなかった事実を、本音をぽろっと話してくれることもあって
でも穏やかな表情で
ああ、話してくれてよかった。
話せるようになったんだと安堵しています。
少し距離をおいて暮らすようになって
互いに思いやることもふえた。

これからもひとところにじっとしていることはなさそうな予感。
ミコなりの道をみつけて歩いていってくれれば
それでいいと思っています。
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糺の森の尽きるところに
河合神社があります。
ここは女性の守護神とも言われ、
「方丈記」の作者鴨長明にも関係の深い神社。
暑い残暑の日差しのした
ここの名物かりんの美人水というジュースを
ふたりで半分こ。
美人度があがったどうかは定かではないけれど
なんともいえず優しい味、美味しかった。

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ふたりとも修学旅行以来という二条城を最後に
この旅は終わり。
午前中の日差しが嘘のように
しっかりとした雨が降り出し
京都駅に向かうバスに乗りました。
by sarakosara | 2014-09-22 23:44

夜の先斗町

夕方になってあの夏雲はどこへやら
急に雲行きがあやしくなってきました。
ホテルに向かう途中からすーっと涼しい風が吹き出し
怪しい雲がむくむくと。
夕飯はミコがプレゼントでごちそうしてくれるということになっていたので
いったんホテルに入り、
汗をひかせてから町を歩いていこうということになったけれど
お天気はもってくれるだろうか。

ほんの一休みして
外に出るとまだ雨は落ちてきていない。
今のうちだねと裏道を歩きます。
町は裏道が楽しい、ましてここは京都、
歩かなくちゃ損損。
京都は碁盤の目だからわかりやすく
ひとつひとつの通りにも古くから愛されてきた名前があって
そんなことも楽しい。
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寅さんのお祖母ちゃんは京都の人でした。
京都独特の町家、間口のせまい昔ながらの家だったという。
時々義父が昔話をしてくれたこともあったけれど
いったいどのあたりだったのだろう。
東京に嫁いできて30代で亡くなっているので
すっかりそちらの親戚とは疎遠になったきりわからないということでした。
京都にきて昔作りの町家をみかけると
ふっとそんな見も知らぬ寅さんのお祖母ちゃんのことを思い出す。

先斗町まで半分も歩いたあたりで
大粒の雨がぽつんぽつんと落ち始め
じきに大降りの気配。
ちょっと雨宿りしようと通りの手頃なマンションのエントランスの軒下を拝借。
すぐに横殴りの雨。
小降りにならないかしら
予約の時間に遅れちゃうし、仕方ないから歩こうかと
あきらめかけた頃すっと小降りに。
よし、いまだと歩き出します。
雨にぬれた先斗町の裏通り。

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この雨でミコが予約してくれてあったお店の
川床は無理らしく
きゅうきょ店内に席を準備してくれてありました。
残念だったけれど、前回もほかの店で川床は経験済み
また違った風情も楽しみだね。
そう言っていたとおり、
鴨川が見渡せる素敵な席を用意してくださった。
お店の配慮に感謝。
そして食事も終わりかけた頃
お店の方が、
「雨がやみましたので、デザートだけでも外で召しあがりますか?」
とまたまた嬉しい心配り。
なんだか一粒でふたつ美味しいみたいな感じになちゃったねと
ミコとにっこり。
川床におりて、さっきまで食事をしていた二階をみたところ。
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夏の宵の雨あがり、
少しひんやりした夜風をうけながら
二粒目の美味しい甘味。
素敵な夕食をありがとうミコ。

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このあと鴨川沿いを散歩して
こんどは雨の心配をせずのんびり夜の京都の裏道をぶらぶら。
京都の台所といわれる「錦市場」も
すでにシャッターがおりてひっそり。
しんと長く続くアーケード
昼間の賑わいを想像しながら歩くと
どこか異次元を歩いているような不思議なワクワクを感じる。

ミコの大好きな森見登美彦氏の「夜は短し歩けよ乙女 」の
ワンシーンのような夜。
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学生の頃からミコが好きということもあってか
この黒髪の乙女によく似てると言われることのあるミコ。
ちょっと風変わりなところも
何か不思議な縁を感じる主人公です。
そのお話は最後に。

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by sarakosara | 2014-09-15 12:09 |

ふたたびの京都

ミコとの旅行は4年ぶり。
前回はミコがアメリカに発つ直前で
やはり京都。
あの時はミコと一年も会えなくなってしまうさびしさを
どこかに感じながらの旅でした。

今回はそのときにまわれなかった嵐山方面にまず向かうことに。
京都駅でちょっとした手助けを頼まれたご婦人に
ありがとうのついでに立ち話で
トロッコ列車に乗ったあと、ぜひ保津川下りをしたらいいとアドバイスをうけ
それもいいねと嵐山をめざします。

その前の週には福知山で大雨の被害がでていたり
この時も大気は不安定な状態が続いていましたが
それよりも晴れ間の太陽が照りつける厳しい残暑でした。

暑い暑いと言いながら渡月橋を渡り
まずは天龍寺。
足利尊氏が後醍醐天皇の菩提を弔うため夢窓国師を開山として創建されたお寺。

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暑さがすっとひくような清流が境内を流れ
春のしだれ桜や秋の紅葉の頃はさぞやと思われるお庭が堪能できます。
ひたひたと歩く黒光りする板の間や廊下を
風が通り抜け、外も通り雨。
しばらくミコと板の間に腰掛けて雨宿りするうちに
また夏の日差しが照りつけ始めました。

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天龍寺から少し歩いたところ
野宮神社から大河内山荘へと至る道が
竹林になっています。
野宮神社をお参りしてから
竹林の小道へ。
太陽がこぼれる瞬間
雲に隠れた時で、色合いも雰囲気も違ってみえる。
ちょうど浴衣を着たお嬢さんと何人かすれちがい
そういえば4年前にはミコも舞妓さんになったのも懐かしい。
あの夏から4年もたってしまったのが夢のよう。

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トロッコ列車の駅が見えてきた頃にまたザッと雨。
ちょうどうまく雨をさけて列車へ。
轟音をたてて山あいを走るトロッコ列車
ゴゴゴーっとトンネルを抜けるときは
インディージョーンズになったような気分。
保津峡に着いた頃にはもう日差しがもどっていました。

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京都駅で親切に色々教えていただいたご婦人おすすめの保津川下りは
この日は雨の影響で残念ながら中止とのこと。
それでもラフティングは中止ではなかったようで
鉄橋の上から黄色いオールとゴムボートの人たちが見えました。
トロッコに向かって手を振る余裕。
私たちも上から手をふりかえします。
亀岡駅についたら夏雲がもりもりと空に立ち上がっていました。
田んぼをわたる風、蝉の声。
暑い!

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by sarakosara | 2014-09-15 12:07 |

その朝

8月23日、朝4時半。
ミコと京都に一泊旅行の朝
今年の夏もミコの仕事は忙しくて
お盆以外は土日しか休めそうもないということで
二人の土日の都合わせていたら
ぐうぜん私の誕生日になりました。

一泊なので、新幹線の時間も早めにしていたため
早起きして、寅さんやスマを起こさないように
ゴミ出しと洗濯。
明けだした東の空
雲が染まってしばしみとれてしまいました。

ちょうどこんな時間に父と母は私の誕生を喜んでくれた。
毎年この日は両親に思いをよせます。

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父の妹、叔母が
この日の前日、プレゼントにそえてメッセージをくれました。
「さら子ちゃんのご両親同様、おばちゃんにとっても、あなたは宝です」
こんな歳になっても誕生日をおぼえていてくれて
こんなふうに言ってくれる叔母がいる。

子どもの頃は
勝ち気で、はっきりものを言う叔母が
ちょっと苦手だったけれど
母をなくした頃から叔母も私を不憫に思ったのか
なにくれとなく心配してくれ
こうして毎年誕生日にプレゼントを届けてくれて
その都度両親の思いを伝えてくれるのです。

車で駅まで送るよって言っても
大丈夫、叔母さんはこうして歩くから元気なの。
そう言って大きな仕事カバンをさげて
しゃんと背筋をのばして歩いていきます。

父が亡くなってからは
叔母の背中に父が見えるようで
そんな後ろ姿が街角に見えなくなるまで見送ります。

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ミコと待ち合わせの駅のそばに着いたのは朝6時ちょっと前。
空が少し秋の色にみえました。
心配していたお天気もなんとかもってくれそう。
by sarakosara | 2014-09-07 15:10 | 家族のこと