甘くてすっぱい

先週半ば、スマは帰っていった。
いつもの帰省なら、友達と会ったり
ろくに家にいないので
ひと月あまり、こんなに家にずっといたのは小学生の頃以来かな。
そのせいか行ってしまった日は
仕事から帰ると、しんとしたリビング
ぽっかりと寂しくなって
あれこれスマのものを片っ端から片付けた。

しかし数日たってみると
散らからないリビング、少ない洗濯物
朝もバタバタせず自分の時間が取れるし
うん、これもやっぱり楽。
就職活動もすべて順調とはいえないようだが
こんなことがあると、
多くは望まない、
来年なんとか自分の身を立ててくれればそれでいい
元気であってくれればそれでいい、そう思う。

6月は仕事も山だし
他の用事も立て込んで
やっと何もない土日。
寅さんは同窓会でいそいそお出かけ。
私ものんびり
サンドイッチとよく冷えたお茶で一人のお昼。
ベランダのゴーヤもだいぶ伸びてきて緑が気持ちいい。

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今日はミコが久しぶりに泊まりにくる。
彼が臨海学校で泊まりだから行ってもいい?と
今週初め連絡があった。

ミコも今年は仕事で初めての大きな壁にぶつかっている。
今までも小さな山はいくつもあったけれど
周りの人たちに恵まれ、なんとか乗り切ってきた。
しかし、今度の山はミコにとってかつて無いほど大きいようだ。
今年は新しい町、新しい環境でまだ要領も得ないまま
さらに負担が増えているらしい。

やめたいなという言葉がなんどもでる。
やめてもいいんじゃない?
そう言ってやりたい
実際婚約者のY君も
身体を壊したら元も子もないよと言ってくれているようだ。
しかし子ども相手の仕事。
なんとか心を通わせて
今年度を乗り切りたいという一心で頑張っている。
またここを踏ん張れば、きっとミコも達成感と一緒に
またひとつ成長するのだと思う。

今回の抜擢は冷静な目で見てもミコに押し付けられたように思われるふしがある。
でも世の中理不尽なことはいっぱいある。
どんな仕事だって甘いもんじゃない。

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今夜はミコの好きなものをたくさん作って
ふたりで乾杯しよう。
愚痴も、うんうんといっぱいきいてやろう。

可愛いさくらんぼも買って来た。
ミコには初物だといいな。
東を向いて笑って食べよう。
世の中甘いものじゃないけれど
甘くてちょっぴりすっぱいさくらんぼだ。




# by sarakosara | 2017-06-24 16:28 | 家族のこと

紫陽花の季節に

お久しぶりです。
すっかり更新も休んでしまい
前回の記事が節目みたいな内容だったので
もうやめてしまったの?と思われた方もいらしたかもしれませんが
そんなわけではぜんぜんなく
むしろ気持ちも新たに書き始めようと思っていたのに
いろいろなことが重なり、パソコンをゆっくり開くこともないような日々でした。

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4月後半に私自身が体調を崩してしまったのをかわきりに
ミコの新任先での今までになかったような苦戦を心配し
やっとゴールデンウィークに体制を立て直せそうになった矢先
連休は帰らずに
実験装置が思う存分使えるから研究室に残ると言っていたスマが
体調不良で帰ってきました。

風邪だと思うけど熱が下がらないと連絡があり
翌週に義父母の法事があるから
一足早く帰ってきてこちらにきて養生したら?と
少し落ち着いた時をみて帰ってきました。

京都で一度近くの病院にかかって風邪だと言われたとのことだけれど
夕方になると熱が出る繰り返しで
さすがにおかしいと思った頃
スマの頸部のリンパ節の腫れに気がつきました。

これはおかしいからとまたこちらで病院にかかり
脾臓の腫れや、肝機能の低下などから
伝染性単核球症だとの診断。
気づかずにこじらせると死に至ることもあるらしく
入院してもいいが特効薬はなく対症療法のみ
とにかく栄養をとって絶対安静にしているのが治療法なので
実家にいるなら家で療養でも構わないとの診断でした。

それから約ひと月
その間にも顎の下のリンパ節も大きく腫れ始め
悪性リンパ腫の可能性も捨てきれないと
大きな病院の紹介状をもらって受診したのが先週のこと
血液の数値が徐々にではあるが良い方に下がっていること
生検となると一つの手術なので体に負担をかけてまで急ぐこともない状況だから
夏頃にもう一度血液データを見てから生検するかどうか決めましょう。
しかし、ほぼ伝染性単核球症であるだろうと
ホッと胸をなでおろす診断でした。

私の仕事も忙しい時期に入っているけれど
スマには栄養と安静が第一というので
果物や野菜をたっぷり買って帰り
一人暮らしでは食べられない家の料理を手をかけて作り
朝も昼の分を用意して出かけ
寅さんとの二人の生活にどっぷり浸かっていた身には少々堪え、
それにも増して病気の心配の方がいっそう心身に堪えました。

就活時期にも重なっているため
本人も気が気ではない様子だったけれど
そのためにも今は安静しかないとここは我慢。
先週の診断で、やっとあと一、二週間家で
少しずつリハビリをして京都での生活に復帰しても良いとの目処がたちました。

今日は書類が通った会社の面接が大阪であり
ついでに一旦あちらの部屋にも寄ってくるとスマ。
こんな長居になるとは思わないまま部屋を空けて来たので
ゴキブリ屋敷になっていないか心配だよと苦笑い。

今日は母の祥月命日。
今年は三十七回忌にあたると先日お寺から連絡があったけれど
法事はせずに、お塔婆を立てていただき
母の好きな花をいっぱい持って
昨日寅さんとスマと三人でお墓まいりをして来ました。

今朝も初めての面接で少し緊張した面持ちのスマに
場合によっては就活どころではなかったもしれないのだもの
今日こうして元気に出かけられることになったことに感謝しなくちゃね。
そう言うと、ほんとうにそうだねとスマも穏やかな笑顔。

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スマが朝早く出かけてから
寅さんと買い物ついでに紫陽花をひと鉢買って来ました。
父の庭の大きな紫陽花が病気になってしまい
泣く泣く切ったのが昨年の秋のこと。

母が愛した紫陽花、
その紫陽花をまた愛でた父。
その紫陽花はもうないけれど
道々に紫陽花が咲く季節になり
今日も36年前のあの日のように穏やかな夕暮れになりました。

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更新しない時に撮った写真
花々のこと。
出来事など、またぼちぼち更新していきます。







# by sarakosara | 2017-06-04 18:03 | 日々

Just The Way You Aer

関東の桜はそろそろ散り始めた。
仕事に行く道すがらの公園に
花びらが散り敷いて一面のうす紅。

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世界はどちらへ向かって歩いているのか
危うい薄氷の上を歩くが如く感じることも増え
だからこそ、今日という1日が穏やかに過ぎることは
当たり前のことではないと知り
大切な人に大切だと思っている気持ちを伝えることを
ためらわないようにしたい。

仕事を終えてから寅さんと待ち合わせて
千鳥ヶ淵の桜を見てきた。
桜は八分咲きくらいの頃。

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先月末でこのブログも7回目の誕生日を迎えた。
書きたいと思う気持ちと
誰かに読んでもらえたらという夢が
同時に叶えられたのがブログ。
それにしても最初のブログを書き始めた時から数えると12年目。
よく続いたなぁと思う。

家族は私がブログを書いていることを知っている。
とはいえ当初は書いている内容は秘密だった。

でも、この「Just The Way You Aer」は
ミコがアメリカに行くことになった時に
一年間会えない間の我が家の様子など
見たい時に見てもらえればという、そんな気持ちで書き始めたところ。

ミコも今は見ることもないだろうが
いつかまた、ここを家族が読むことがあってもいいと思いながら書いている。

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この冬、時間がある時に
今まで書いてきたブログやSNS、メールアドレスなどいっさいをノートにまとめた。
ログイン情報も書いて、私がいなくなった時は
読むなり、削除するなり自由にしてほしいと
そんな言葉も添えた。


人それぞれ、ブログに対する考え方も違うだろうし
書いている意味も違うと思う。

私の場合、家族の話がかなりの数ある。
両親や祖母との思い出も山ほど書いた。
書くうちに私の中で未消化だったことがらも
少しずつ整理されていった。
親子といえども全てを理解し合えるわけもなく
胸に秘めておきたいこともあったろう。

特に母は大人同士の会話をする前に逝ってしまったし
日記や文章を書く人ではなかったので
母のほんとうの思いがどこにあったのか
以前のブログには母のことを書いた記事が多い。
母との数々の思い出を書くうちに
また多くの方のコメントや、その人生を読ませていただきながら
大好きと、なぜ?が、綯い交ぜになったような
母への気持ちが少しずつほどけて
一人の女性としての母も自然に受け入れられるようになっていた。

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いっぽう矛盾するようだが
思い出はどんどん美化されていく。
母とは違い、ブログを書きながらリアルタイムで老いていく父に向き合った日々。
そんな父とともに過ごした時間に書いてきたことは
今読み返しても、あの時こんな気持ちだったのかと
ありのままを書いたことで自分の弱さを思い知ることができ
ささやかな日々の一つ一つがとても大切に思われたりする。

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コメントを閉じてやがて二年が経とうとしている。
今はこれが楽で自然だと思っている。
「Just The Way You Aer」というタイトルも
とても気に入っている。
迷った時に、今のままでいいよと言われているようで素直に書ける。

でも、あの多くのコメントを交わし合った時間がなければ
たぶんこんなに長く書いていることはなかっただろう。
多くの出逢い、そしてたくさんのコメントで繋がってくださった多くの方に
心から感謝しています。








# by sarakosara | 2017-04-16 17:46 | 想う

夜曲 at きさらぎ

先斗町からほど近い場所
スマについていった路地裏のそこには
こんな張り紙が。
BAR「きさらぎ」
妖しさ満点。
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初めて入るのなら、ためらってしまいそうだけれど
スマは何度か来たことがあるというし
なんといっても、中島みゆきの名前と、きさらぎに惹かれる。

スマ自身中島みゆきも聴くけれど
私のかつてのブログネームきさらぎも思い出し
なんとなく寄ってみたという。

小さな雑居ビルの薄暗くて細い階段を二階に上がる
奥行きもさほどないこれまた細い通路の両側には
いくつかドアが並び
いずれ劣らぬ一種独特の雰囲気を醸し出している。

奥手の小さなドアを開けると
予想をさらに超える狭い空間で、
L字のカウンターには8席。
壁一面に来店のお客さんのスナップが貼られている。

カウンターの中には
これも想定外の若い女性がひとり。
夜の雰囲気ではなく
シャツにジーンズみたいな清楚でラフな感じ。

スマは顔見知りらしく、女性の、どなた?というような顔に
「両親を連れてきました」
と、少し照れながら答えていた。
マスターご夫妻は私や寅さん世代らしいが
旅行でお留守で、その間このお嬢さんが店を任されているという。

カウンターの奥にはスーツ姿の中年男性二人
仕事の話をしている。
L字の短い方には普段着姿の男性ひとり。
その間に三人座らせてもらった。

後から賑やかな男子二人連れが加わり
途中で常連らしいおじさんがひとりドアを開けて覗いたけれど
今いっぱいという女性の答えに
また来るわと帰っていった。

チャージ料なしで良心的なお値段。
角ハイボールを頼んで他の方のリクエスト曲にひたり、いい気分。

お母さんも何かかけてもらう?
スマの言葉に
手作りの、かなり年季の入った曲名集を開いてみたものの
実は店に入った時から、
かけてもらいたい曲はほぼ決まっていた。
臨月というLPの中の「夜曲」という歌。

1981年に出たアルバム。
私は母を亡くして間もないころ
そしてまた、恋する頃だった。

悲しい歌も、愛しい歌も、みんなあなたのことを歌っているのよ。

あの頃は中島みゆきよりユーミンの方が好きだったし
むしろ洋楽のLPを月に二枚くらいのペースで買っていたし。
でもこんなふうに、胸が疼くような懐かしさを感じるのは
中島みゆきの歌なのかもしれない。

彼女の歌は幸せな時よりも
悲しいとき、つらい時
何かを乗り越えたい時に心に添うような気がする。

それが今も聴き続けられている所以なのか
この日も後から20代と思われる青年が一人で入ってきた。
母親がよく聴いていたんですと
話し始めてみたらスマと同じ歳で話がはずむ。

色々な世代の見知らぬ人が
中島みゆきを聴きながら時を過ごす。
タカセ会館二階
不思議な空間だった。

夜曲を貼りたかったけれど
オリジナルはなかなかないので
素敵なカバーがあった曲「ホームにて」





帰りがけ寅さんとスマと三人の写真も撮ってくれた。
すっかりいい気持ちになって店を後にし
冬の京都の夜を歩いた。
あの時の写真
今頃高瀬川の近くのBERきさらぎの一枚に加わっているのだろうか。















# by sarakosara | 2017-04-08 17:10 |

花見小路から

祇園で夕食を食べたのは、花見小路にある「十二段屋」というお店。
ここは、しゃぶしゃぶ発祥の店だという。
ところが、それを知ったのは後のこと。
スマの研究室の助手さんが、ご両親が来るのならそこが良いんじゃない?と
勧めてくださったという。

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あたたかで、落ち着いた雰囲気で居心地も良い。
さて、それではまずはビールとつまみをとお品書きを見ると
おつまみ系が少ない。
ん?と思いながら、小鉢を二つほどと、ビール
そして、生湯葉豆乳鍋を一人前頼むと
「あのぉ、おひとり様1000円以上の注文をいただきたいのですが」と言われる。

はぁ?どういうこと?と思いつつ
気を取り直して、
「後からまだ注文するけれど、それじゃだめかしら?」というと
はぁ。それなら。
と、注文を受けてくれた。

我々もなんの下調べもせずに向かったのがそもそもの間違いだったのだが
どうやら、こちらは我々が思っていたような場所じゃないらしいと
ここにきて気がつく。

この夜は寅さんも一緒、
寅さんには、久しぶりの京都観光なので
夜はゆっくり「おばんざい」やお造りなどつまみながら呑んでほしかった。
けれど、こちらのお店は
有名なしゃぶしゃぶや大海老天丼などの御膳
あるいはすき焼きなどを豪勢にいただくところらしい。

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こちらのコンセプトとはちと違う。

寅さんと二人で顔を見合わせていると
スマも察して、済まなそうな顔
「ごめんね、こういう店だと思っていなかったんだ」と何度も謝る。
いやいや、研究室の助手さんも、こんな呑兵衛な家族と知らず
有名なしゃぶしゃぶなど良い雰囲気で食べるのに絶好と思ったのだろうし
私たちも何も調べもせずきてしまったのだもの。

畳敷きの落ち着いた座敷、
ピカピカに磨かれた銅のやかんが各テーブルに置かれ
雰囲気も味も申し分ない。
ただ我が家のこの日のコンセプトに合わなかっただけ、それだけのことなのだ。

結局どれも、そこそこ良いお値段なので
これ以上腰を据えてもと
寅さんとスマは大海老天丼を食べ、店を出る。

スマは謝るし、寅さんは気にするなとなだめるし
私は寅さんにゆっくり呑ませてあげられなかったことがひっかっかり
みんなどうにも中途半端な気分になってしまった。

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それから先斗町まで歩き
小さな店に入ったけれど
寅さんとスマはそこそこお腹が満たされていて
色々注文することもできなかった。
それでも心のこもったおもてなしの接客で
美味しいお造りなど頼んでちびちび呑むうちに
三人とも和んできた。

と、スマが
本当は今夜連れて行きたいところがあったんだけど
こんな展開になちゃったから
もうこれ以上移動したくないよね、という。
なんだろうと思いながら話を聞くと
「お母さん、今も如月さんのブログ書いてるの?」と
唐突に訊いてきた。
なになに?と思いながら
「ううん、今はそっちは更新していないよ」と答えると
「そっかぁ、実はね、それとは直接関係ないのだけど」

さて、どこへ連れて行きたいというのだろう。




# by sarakosara | 2017-03-30 22:46 |

祇園さん

伏見稲荷を出る頃はすっかり夜。
寅さんも一緒の今夜は美味しいものでもと祇園に向かうことに。

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伏見稲荷の駅、和服姿の女の子が何やら楽しそう。
この日も前日もあちこちで着物姿の若い女性を見かけました。
可愛らしいなぁと思いながらすれ違うと
聞こえてくるのは日本語じゃない。
海外からのお嬢さんに流行ってるのね。

真冬にショールもかけず寒そうにしている人も見かけたけれど
このお嬢さんたちは日本の方に見えた。
モダンな色柄で、可愛らしいなぁ。

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祇園到着。
まずは、八坂神社へ。
ここにも和服姿の女性がちらほら。
着こなしが板についていて、借着じゃないのは一目瞭然です。
場所柄、芸妓さんや舞妓さんもこちらにお参りするのでしょう。

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親しみを込めて「祇園さん」とも呼ばれているという八坂神社。
境内にもお店の出した提灯がたくさん並んで
地元に愛され親しまれているのがわかります。

空には朧月が浮かんで穏やかな夜。
八坂神社から見晴らす四条通り。

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スマが京都の母と慕う
研究室の助手さんお薦めの店があるというので
そこへ向かうことにしました。


# by sarakosara | 2017-03-19 17:43 |