好きな詩を二編

大安吉日の今日、晴れるか曇るか、はたまた雨かと気をもんでいた母さんへ
そして晴れの日を迎えるお嬢さんにプレゼントです。
私の大好きな、吉野弘さんの詩を二編。

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ひとつめは祝婚歌。
なにかの時に思い起こすこの詩、
ふたりがともに歩いていく
道しるべのひとつになればと思い贈ります。

『祝婚歌』 

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いているほうがいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときは

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときは

相手を傷つけやすいものだと

気付いているほうがいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無理な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるのであってほしい


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そしてもう一編、「奈々子へ」
この詩は私が結婚する前に手帳に記した詩。
娘を送り出す父の気持ちを想い、結婚を間近にひかえたある日、大切な赤い手帳に記しました。
今日両家を代表しての挨拶をされる父さんの気持ちもきっと同じでしょう、
ここまで慈しみ宝物のように育ててこられたお嬢さんへ心をこめて。



『奈々子へ』

赤い林檎の頬をして
眠っている奈々子。

お前のお母さんの頬の赤さは
そくっり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう。

自分があるとき
他人があり
世界がある

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた

苦労は
今は
お前にあげられない。

お前にあげたいものは。
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。


二編とも、吉野弘 「贈るうた」より

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母の祈りが届いたのか、今日はお日さまマークがにっこりしました。
八重桜が満開だった私の秘密の花園には
今は色とりどりの薔薇がみごとに咲いています。
八重桜のようにゆったりと波うつドレスを身に纏い巣立つ5月のこの佳き日、
どうぞお幸せに!
# by sarakosara | 2010-05-15 00:02 | 想う

ここはどこの

細道じゃ?
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細道のむこうには、下町のニューフェース東京スカイツリー。
まだまだ筍みたに伸びるらしい、真下からみたら大きいだろうな。
私の大好きな東京タワーも思い入れいっぱいだけど
同じくらい好きな下町がこの新しいタワーで元気になるならそれもいい。
腰をう~んと伸ばして見上げるおじいちゃんとおばあちゃん。
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連休後半の一日、こんな道を通り抜けて見に行ったのが
人?
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じゃなくて牛!
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じゃなくて藤。
光に透ける葉の薄緑もさわやか。
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池のまわりには、ぐるっと藤棚が続きます。
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この藤のシーズンは観光バスもとまって見学をするらしく
押すな押すなの人の波。
けれど、花を見る人の顔はやっぱりおだやか。
菅原道真公ゆかりの牛の頭をなでて、
どうぞ頭が良くなりなりますようにと今さらだけどお願いしてみる。

同じように見える藤でも、まさに藤色という薄紫から、
ピンクまで色もさまざまなのがよくわかります。
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みあげる藤に気をとられていたら
どこか下の方から声がしました。

「みんな藤に夢中だけどさ、なんといっても私達が主役よね銀さん」
「そうそう、なにせここは亀戸天神なんだもの。ねえ、金さん」
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な~んてことを言っているかもの金さん銀さんみたいな寄り添う亀さん。
そう、ここは東京亀戸は亀戸天神さまの細道だったのです。
# by sarakosara | 2010-05-10 07:43 | ぶらさら子 | Comments(10)

元気です

木洩れ日が心地よい昼下がり
外を歩きながら緑の風をうけて、
母の指先に薄紅のマニュキュアを塗ってあげた日のことを思い出していました。

母は茶の間の父の座椅子にもたれてうとうとしていました。
祖母の丹精した草花であふれた庭の緑が反射して
部屋は心地よい金魚鉢の底のようでした。

疲れきって休んでいた母が目をあけ、
私はふっと母にマニュキュアをしてあげようと思い立ちました。
桜色した指先が母に元気をくれるようで、
とってもいいことを思いついたようで、
私はひとつひとつ母の爪にマニュキュアを塗っていきました。
母は目を細めながら、
「こんないい母の日はないな」
そう言って喜んでくれました。

元気でいてくれたならもう80代、
どんな母だったでしょう、年を重ねたあなたが想像できません。
そんな時、友達のお母さまの話をききながら、母と重ねてみます。
そして、どうぞお元気でと願わずにはいられません。

あれからもう30年の時が流れました。
お母さん、あなたの時はあのままとまってしまったけれど、
私はもうじきあなたの歳においついてしまうけれど
私は元気にしています。



# by sarakosara | 2010-05-09 17:01 | 日々

「まかない」とダイエット

楽しみにしていた連休も終わり、
後半は出かけたり、寅さんの妹家族が遊びにきたりで
ばたばたと過ぎていきました。
今日は寅さんも土曜出勤、スマも大学、ミコもアルバイトで私ひとりきり。
やっとさよならできる冬物の衣類を
「お家クリーニング」モードで都合三回洗濯機をまわし、
近所の友達とおしゃべりをしたり、
ある意味連休よりゆったりできたかもの土曜日でした。
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当初4月の半ば頃にはアメリカに発つはずだったミコも
先月末からアルバイトを始めました。
なかなか発行されないビザを待ちながら、勉強したり連絡をとったりで
ずっと家にいたミコ。
はっきりしない先行きにだんだん煮詰まってきていらいらするし、
アメリカ行きの時のために節約しなくちゃと思うと
買い物一つもままならず悶々。
少しくらいお金使ったっていいじゃない、
今までずっと忙しかったのだもの少しゆっくりしてもいいのにと言っても
そんな気楽なもんじゃないよって反論されれば
売り言葉に買い言葉、それならアルバイトでもすればいいじゃない、ってことに。


今アメリカ滞在のためのビザがとてもとりにくい状況になっているそうなのです。
この世界的な不況の中、働くことを目的としたビザは、そう簡単に許可がおりず
ミコの場合は働くといってもインターンシップみたいなものなので
一ヶ月に100ドルくらいにしかならず、お小遣いにも足りないほどなのだけど
ビザの種類によって一緒くたにされ、かなり難しくなっています。

で、新たに違う種類のビザの申請に変更することになりました。
それにはまた揃えなくてはいけない書類もたくさんあるし、
大学の教授の推薦や、英語による面接試験もスカイプで受けることになり
一から出直す気分なのです。
それくらいなら行き先の変更をすればとも思うのだけど
もう滞在先の家族ともメールなどでやりとりするうちに情もわいてしまい、
先方も心待ちにしていてくれるともなれば、変更などする気になれないとのこと。
ならば、ここは腰をすえて頑張るしかないよね。
というと、今度は不安がよぎるのか
「こんなことならあのまま小学校の先生になっていればよかったかなあ」
なんて言う。
そんなこと言って、そのまま夢をあきらめていたらきっと
「ああ、やっぱり思い切って行っておくんだった」
なんて言ってるに違いない。
繰り返される繰言に、こっちもイラッとして
なんでもやってみなければわからないもの、思うように運ばないのも人生だもの。
つい紋切り型の言葉が出てきます。
ミコくらいの年頃を思い出して彼女の気持ちになってと思っても、
やっぱり大人の言葉しか出てこない。
正直言って、自分で選んだ道とはいえ、予想外の展開にとまどい、
見回せば、友達は社会人としてすでにスタートしたり、院に進んで勉強したり
それぞれの道で充実した日々を過ごしているように見える。
あえてみんなと違う道を選んだはずなのに、みんなと違うことに不安もある。
ミコの気持ちもわかるのです。

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新しいアルバイト先は和風カフェとか。
いちおう海外に行くための資金集めなのでと話し、
たまりしだいやめることを前提に使ってくれるところを探したようです。
それでみつかったバイト先、どうやらずいぶん豪勢な「まかない」が出るらしく、
ご丁寧にデザートのあんみつやパフェまでつくらしいのです。
家にいるようになってから、太っちゃうといって気にしながら
代謝がよくなっていいらしいと朝に生姜湯を飲み始めていたミコ、
そのうえ、どこかからきいてきた、
豆乳バナナで一食置き換えダイエットなるものも実行していたのに
この豪華な「まかない」で水の泡だそう。
一人暮らしの子には涙ものの豪華な「まかない」だけど
家に帰ってからも食事が待ってるミコには誤算でした。
少なくしてもらえばいいのに、デザートは断ればいいのに。
そう言うと、デザートを味わうのも仕事のうち、若いのだから平気平気って言われるそうで。
そしてもったいないからと残すことのできない性分、
「それに美味しいんだよねぇ・・」と泣き笑い。
それなら晩御飯減らすか、食べなきゃいいでしょって言うと、
それも食べたいじゃない。
ああ、何をかいわんや(笑)

いずれにせよ、早く決まってくれるといいなと願うばかりです。
面接試験もパスしたとして、予定としては9月頃の出発になる模様、
それまでにまかないでぽっちゃりしちゃったりして。
# by sarakosara | 2010-05-08 17:25 | 家族のこと | Comments(14)

真珠採りのタンゴ

一昨日はベランダ仕事をしようと思っていたら父から電話があり、
掃除機が壊れたので、いつもの電気屋へ電話してくれないかとのこと。
昨年我が家の冷蔵庫を買ってから、何かと懇意にしている町の電気屋さん、
父は適当に手軽な掃除機を選んで持ってきてくれるように伝えてくれとのこと、
一度は見てみなくちゃと言ってもきかず。
いちおう了解といって電話は切ったものの、
いくらなんでもどんな掃除機かくらい選ばなくちゃなるまい。
適当にみつくろってとはいっても、酒の肴じゃないのだから(笑)
さて、まずはカタログを持ってきてもらってと思ったが、それも手間だなあと思い直し
私が行って決めてくればいいやと、コンパクトでシンプルな掃除機を即決で買ってきました。

なんでもかんでも使えるだけ使う父、
動かなくなるまで使いきります。
掃除機もだいぶ年季がはいっていたけれど、
扇風機にいたっては、私が子供の頃だからもう40年以上たつものをまだ使っています。
いつ火を吹くかわからないよと脅しても、使えるうちはと引きません。

電話もいまだに黒電話、
さすがに初代じゃないけれど、今もジーコン、ジーコンとダイヤルを回すものです。
初代の黒電話の頃は茶の間の隣の父の机の上に電話があって
当時は携帯などない時代、
ボーイフレンドからの電話もそこで受けなくてはならず
長電話にうるさい父のご機嫌を気にしいしい、そっと襖をしめて小声で話したものです。
それでも、ものの5分もしないうちに父が母に言う小言が聞こえてきます。
「さら子はいったいいつまでくだらない話をしてるんだ」
母が適当に流してくれているものの、
そのうち襖をあけていい加減にしなさいとじかに言われるのは時間の問題。
なるべく父のいない時に電話をしてくれるようにボーフレンドに伝えたのは言うまでもありません。

そんな父ですから、もう使えなくなったものも大事にとってあります。
そのひとつが私が生まれた年に東京の巣鴨で買ったというステレオ。

小さな頃は父の好きな曲をこのステレオでよくきいたもの、
当時はチャンネル権もおおおよそ父主導、レコードもしかり。
童謡もあったけれど、それよりは父の好みで買ってきたレコードのほうが多く、
ドナウ河のさざなみ、皇帝円舞曲からお座敷小唄まで
ジャンルを問わず父のささやかなコレクションがありました。
中でも私が好きだったのがタンゴ。
「真珠採りのタンゴ」、「碧空」、そして「ラ・クンパルシータ」。
ステレオの前にちんまり座って聴き入った真珠採りのタンゴ、
幼いながらもその曲のもつ魅力を感じ取り、
自分のイメージした世界にひたったものです。



昨日の午前中は、一昨日できなかったプランターの植え替えを父の玄関先でしました。
おだやかな五月晴れの連休二日目、
そんな私のそばに立って父もしばらく話し込みます。


父の庭に買ったのはこの花、
昨年の大風で倒れてしまったハナミズキ。
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倒れてしまった時は父と寅さんと私と三人でなんとか立てなおし、植えなおしたけれど
結局根から傷んでしまっていたようで、
ハナミズキの季節まで待ってみたものの、復活してくれませんでした。
そこだけ寂しくなってしまった場所にと買ってきた二代目、
こんどは白いハナミズキ。
やっぱり庭が明るくなるなと、嬉しそうに言う父。
無事に大きくなって、白く灯るあかりのようにいっぱい咲いてくれるといいなと思っています。

ゴーヤとトマトの植え付けも完了しました。
後半もお天気に恵まれそうです。
# by sarakosara | 2010-05-03 08:22 | 家族のこと | Comments(19)

明るい朝

せっかくの連休だというのに前記事ではちょっと愚痴っぽくなってしまいました、
でも書いてみると不思議なもので、またすすむ力がでてくるような気がします。

そして今日から5月、楽しみにしていた連休初日、
朝寝坊できるぞって、ゆうべはけっこう夜更かしだったのに、
今朝は早くに目覚めてしまいました。
遠足の朝の子供みたい?
というか、夫の寅さんと二人で寝ている和室は東向きの部屋、
この時期天気のいい朝は、5時前から明るくなってくるのです。
ぱちっと目が覚めると障子の向こうはもうすっかり明るく
3階なので、5時半にもなると日が差してきます。
これから夏が近づくっていうと、朝からじりじりと暑くてますます寝坊が難しくなる。
こんな素敵な窓はないけれど、障子越しの光もやわらかくて好き。
ただ、これからはちょっと悩ましい季節の到来です。
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それで思い出すのが結婚したばかりの頃のこと。
その頃住んでいたのがアパート以上、マンション以下みたいな○○コーポの三階。
二つある部屋は、どちらも障子という珍しい作りでした。
私がそれまで過ごしていた実家は平屋の一軒家で
父は夏だろうが暑かろうが、一年中雨戸をぴったり閉めないと気がすまない性質で、
下手にすると数枚ある雨戸は戸袋に収まらなくなる雨戸の開け閉めは
私も手馴れたものでした。
そんな家で過ごした夜は真っ暗があたりまえ、
朝の光も廊下の上の小さな明り取りから漏れてくるくらいでした。

そんな家で長年過ごしてきた私にとって、
新婚当初に過ごした部屋の明るさは想像以上、想定外のことでした。
ちょうど結婚した時期もこの5月の末。
夜明けもかなり早い頃、
夜寝付く時も道路の街灯が障子越しに煌々と光って寝付けないのに
朝も信じられないくらい明るい光が早々に障子からもれてくる。
障子なので厚手のカーテンにというわけにもいかずほとほと弱りました。
そんな折もおり、こんどは寅さんが風邪をひいたのです、
それから知った寅さんの風邪の定番は熱を出すことはないのだけど
いつも治りかけの咳がひどいということ。
その時も夜中にひどく咳き込んで、それが心配で私まで目覚めてしまう、
昼間は仕事に行ってくる寅さんなのだけど、夜中に咳き込む日々の繰り返し、
そんな日がしばらく続き、朝も明るくて眠れない私はすっかり寝不足になりました。
かといって自分も辛いうえに私にも申し訳ながっている寅さんを責めてもはじまらない。

そんな日々のピークの頃に職場の慰安旅行の韓国行きがあったのです。
飛行機がまだ滑走路の上をゆっくりと走りだしたばかりなのに、
もう頭をぐらぐらさせて眠ってしまった私、
飛び立つ轟音ではっと目が覚めた時、隣の席の後輩から
「新婚さんって、疲れるのでしょうね・・」と、
半分不思議そうに、半分可笑しそうに、そう言われたのをおぼえています。
それでかくかくしかじかと話をし、
はぁそういう訳だったのですか、それじゃゆっくり眠ってくださいと、
韓国のホテルでは一人部屋を提供してもらい、その夜私は爆睡しました。

今もこの時期になると、時々その頃のことを思い出します。
そしてなぜかこの季節になると、よく風邪をひく寅さん、
どうやらこのたびも風邪をひいたらしく、一昨日喉が痛いなと言っていたところ
昨日仕事から帰ってきたら、すっかり風邪声になっていました。
連休後半は用事が立て込んでいるので、
今日あたり二人でぶらっとしてこようかと言っていたのだけど
これはゆっくり寝かせてあげたほうがいいみたい。
私は日焼け対策をして、庭いじり、ベランダ仕事でもしようかな。

そうそう、つぼみがふくらんできたアブラカダブラが昨日開きました。
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一昨日の風で鉢が倒れ、少し花びらが傷んでしまったけれど
ちょうど去年のゴールデンウィークに初めて買ったバラ、アブラカダブラ~♪
初めての冬を越して咲いてくれました。
# by sarakosara | 2010-05-01 08:48 | 思い出小箱 | Comments(14)