夢中

昨日の記事を書いてから、もうひとつ思い出したことがありました。
それはTちゃんの家で誕生会があった時のこと、
みんなでおばさんの心づくしをいただいてから遊びだした時
Tちゃんの本棚にかねてから読みたいとずっと気になっていた本をみつけました。
その本は「ももいろのきりん」

ももいろのきりん (福音館創作童話シリーズ)

中川 李枝子 / 福音館書店


学級文庫に置いてあって、可愛い表紙にひかれ
読もう読もうと思いながらまだだった本。
その本を手に取って読むうちにすっかり夢中になってしまったのです。
まわりでぐるぐる遊びまわる友達の中に座ったままずっと読みふけり
みんなと遊ばず本に夢中の私を気にかけたおばさんが
「そんなに気に入ったら貸してあげるからおうちで読んだら」
そう声をかけてくれたような気がします。
しかしそんなことを言われても私はお構いなし、とうとう最後まで読み終えました。
母も後からTちゃんのお母さんにこの時の話をきかされたようで
ふたりで笑ったのよと話していたのをおぼえています。

けっきょく自分では持っていなかったので、主人公の女の子の名がるる子だったことや、
折り紙で作られたきりんの名がきりかだったことはおろか
その話がどんな内容だったのかも忘れてしまっていました。
でもTちゃんのことでふっと思い出したこの本、
きっといっきに夢中になって読ませるほど、
子供心をひきつける魅力に満ちた本だったのだと思います。

夢中になって読むといえば「1Q84」のBOOK 3が出ました。
BOOK 1と、BOOK 2は、息子のスマが友達から借りてきて読み
私もそれを借りて読んだのですが、今回はスマが買いに走りました。
昨日は帰ってこなかったので私はまだ見ていないのだけど
きっと部室に泊まって読みふけっているはず、夢中になっているはずです。
BOOK 1と、BOOK 2を読んだ知り合いの感想は二つに分かれ
難解で頭が痛くなりそうだったとか、意味不明だという人と
もう一方は、はまってしまったという人。
私は最初に少し違和感を感じたものの、どちらかというとはまってしまったほう。
これからどんな展開をみせるのか
そして作者がここに込めた意味はなんだろうと
もう少し読み進めながら自分なりに考えてみるのも楽しいことと思っています。
今読書中の一冊も生き生きとした主人公の魅力に引き込まれています、
その本のことはまたいつか。
# by sarakosara | 2010-04-17 11:28 | 読んで思ったこと | Comments(12)

花筏

神田川を桜の花びらが流れていきます。
薄紅の帯になって、4月半ばとは思えないような寒さの中、水面を流れていきます。
こういのを花筏っていうのかな。

そんな神田川の見えるビルに入った葬祭場で小学校からの友達の告別式がありました。
私達が通ったのはカトリックの一貫校、幼稚園から短大まであり、
そこで私は小学校から高校までの12年間を過ごしました。
亡くなった友達のTちゃんとは小学生の頃の仲良し、
中高とすすむうちに、一緒にすごす仲良しは変わっていき、
クラスも違ったりして、親密な行き来はなくなりました。
高校卒業後は、共通の友達を通して近況を知ったり、
その友達を介しての年に一度のミニ同期会でたまに顔を合わせたりしていましたが、
ここ数年どちらかが出られれば、どちらかが出られずだったり
なかなかタイミングが合わずに、最後に会ったのはたぶん4年くらい前だったかもしれません。

なので大人になってからの思い出はそう多くないTちゃんと私。
でもくも膜下出血で急逝とのメールが友達から届いたのを見たときは
やっぱりお別れがしたいと、仕事の休みをもらって告別式に出席してきました。

キリスト教式の簡素な式を終えて、花びらでいっぱいのTちゃんを見たとき
なんてきれい、まだ花盛りみたいな顔してるって思いました。
離婚後は一人娘さんと二人ですごし、
かねてからの夢だったのか、感じのいいお店を持ったという話もきいていました。
涙で言葉が掻き消えそうな娘さんのお腹には小さな命が芽生えているとのこと、
どんなに見たかったろうと、雨粒の落ちる神田川の花筏をみながら、
あっというまに逝ってしまったTちゃんの心残りを想います。
写真は去年の桜。
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ご家族とTちゃんをのせた車を見送ってから
一緒に行った友達数人と遅いお昼を食べて話しました。

ひとりが、そういえばTちゃん家って、なんだか道の駅みたいだったよねと言うと
みんな口々に、そうそう、あの時、うん、あんなことも。
そんな小学生の頃の話で盛り上がりました。

Tちゃんの家は学校の裏門のすぐそばにありました。
学校まで徒歩1分。
私立の学校ということで、バスや電車で通学する子も多かったのですが
正門から入る子達は電車を使う子が多く、
裏門を利用する子はバスで通う少数派。
そんな人通りの少なさがまた隠れ家のような心地よさを感じさせてくれ
学校は目の前だというのに、すみませんおトイレ貸してくださいとか、
おばちゃん、お水もらってもいいですか?とか、
仲良しにとって、Tちゃんの家は格好の立ち寄り場所となっていたのです。

私もいちばん仲のよかった小学校低学年の頃は
毎日のようにTちゃんの家によりました。
「T~ちゃん、学校に行こう」
そう声をかけると、たいがいTちゃんはまだ朝食の時間、
もちろんこっちもそれを見込んで少し早めに寄るのです。
すると、上がって待ってらっしゃいとおばさん。
隣で朝ごはんを食べるTちゃんの横でテレビの「おはようこどもショー」を見るのが楽しみ、
ここでワンクッションおくこの時間は
なんともいえないワクワクした気持ちに私をさせてくれるのでした。

それは帰り道も同じこと、
それぞれ家に帰れば友達はすぐに遊びに行けない距離にあるので
Tちゃんの家に寄ってランドセルを置き、近所で遊んで帰ったこともありました。
当時Tちゃんの家の道をはさんだ向かいには小さな丘があり、
そこには野仏やお墓がいくつか点在し、
子供心には少し不気味でもあり、また心そそられる不思議な場所だったのです。
あそこに行った時何か聞こえたとか、あの後ろには何かあるとか、
怖いもの見たさも手伝って、よく探検しました。
こんな寄り道が知れたら、今なら先生から注意されただろうに、
まだまだのどかな時代だったのか、親も先生も黙認だったように思います。

そんな時も小柄で活発なTちゃんはみんなの人気者、
腰まである長い三つ編みがトレードマークで、
いつも先頭に立って走り回っていました。
足が速くてリレーの選手もよくしていた記憶があるけれど、
人生も少し早く駆け抜けてしまったのだろうか。
みんなで会ったミニ同期会のこの季節に旅立ってしまったTちゃん、
今日はみんなでTちゃんを懐かしく思い、いっぱい話しましたよ。
大人になってからの思い出は少ないけれど
今日の神田川を流れる花筏と、花に囲まれたTちゃんのこと、ずっと忘れません。
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# by sarakosara | 2010-04-16 23:54 | 思い出小箱 | Comments(6)

すっきり

今日は昨日に引き続きぽかぽか天気、お日さまもいっぱいです。
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寅さんには金魚の水槽の水変えをお願い、
私は大掃除にやり残したまま、放置してあった台所の勝手口の掃除をしました。
ここはジャブジャブ水をかけるのが一番。
で、今日はもってこいのお天気。 
暖かくなるだけで、やる気満々です、ああ、すっきりした♪
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# by sarakosara | 2010-04-11 16:34 | 日々 | Comments(23)

仕舞い桜

昨日は上野まで用事があったついでにすぐお隣の谷中の桜をみてきました。
桜は先週で終わりにしようと思っていたのだけど、
よく晴れて穏やかな土曜日、気温もあがり、散る桜も見たくなり。
もうブルーシートも数えるほどしかなく、よそさまのお墓をめぐりながら
やっと青空と桜をみることができ、
おだやかな花吹雪の下を歩きました。

その昨日の花から一週間前、
前記の花見の前日は父と一緒に父の妹の叔母のところへ行きました。
叔母と父はちょうど一回り、12歳違い。
「私が12歳の頃だったかな、さらちゃんのお父さんとお母さんが結婚したのよ」
歳が離れていたから、お父さんにももちろんだけど
お母さんにも可愛がってもらったのと叔母は懐かしそう。

料理好きの叔母の心づくしをお腹いっぱい食べながら
半日おしゃべりしてきました。
何があったというわけではなく、
お互いいつ会えなくなるかわからないからと
そんな叔母の意向だったけど、延ばし延ばしになってちょうど桜の頃になりました。
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8人兄弟の末っ子に生まれた叔母、
兄達はそれぞれ独り立ちしていくなか、両親と一人っ子のように育ったらしく
勝気でわがままな反面、人一倍の頑張りや。
75歳になった今も保険の外交の仕事をまだ続けています。
数年前に叔父は先立ち一人暮らし。
三人いる子供達も長女は体調を崩し、長男はまだ独身で遠くで仕事をする身、
末っ子の次女からは訳あって絶交状をもらってしまい
たったひとりの孫にももう一年以上も会っていないのです。

最初は私も仲立ちをしたのだけど
そのうちぜんぶ叔母から仕向けられたことと思い込んでしまった従姉妹は
私にも距離をおくようになってしまいました。
叔母にも否はあったけれど、そろそろ立場が逆転する頃だもの
もうちょっとの譲歩があってもと思うのはよその家の私だから言えることなのかもしれません。

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こんなに体がまがるのよ、
そう言いながら目の前で前屈してみせる叔母。
開脚でべたっとからだを床につけることもできるとか。
ひえ~負けた。
どう?って得意げに笑顔で話しながら人一倍健康に気遣っているのがわかります。

そんな叔母に父が
「みっちゃん最近こんなものを持ってるんだよ」と見せたのは
胸ポケットにしまってある一枚の紙。
実は一ヶ月ほど前のこと、父は年に一度毎年通っているところへ行く時
道に迷ってしまったのです。
行けども行けどもたどりつかず、途中でおかしいおかしいと思いつつ
どんどん違う方向へ行ってしまったとか。
やっと道を尋ねてまったく方角違いのところにいる自分に唖然としたそうなのです。

父と祖母が二人暮らしをしていた頃、
もう90歳になろうとしていた祖母が時々迷子になり交番から電話をもらったことがありました。
父もそんなことを思い出したのだと思います。
私にも笑って話してくれたその事件いらい、
胸ポケットに住所氏名電話番号を書いた紙を入れて歩くようになりました。
叔母も笑いながらその話をきき、でも少し心配そうに
もうひとりでは歩かないほうがいいのじゃないかと私に言います。
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お父さんとゆっくり話せてよかったわ
今日は年寄り二人につきあってくれてありがとうね、
帰りぎわそう言ってタクシーを呼んでくれた叔母。
帰り道、通り過ぎる桜をみながら、きれいだねと父が言いました。
父87歳、叔母75歳、今も仲のよい兄妹です。
# by sarakosara | 2010-04-11 16:17 | 家族のこと | Comments(8)

山桜 宵桜

先日の日曜日、あいにくの曇り空、気温低しの中ではあったのですが
この日曜を逃したら桜は終わってしまうと心は急き、
これで三度目になる山桜を見に行きました。
桜とのタイミングの難しさ、
一度目は少し遅く、二度目は少し早く。
そして三度目の正直。

この桜は上を見上げても少しも見えてこない、
葉とともに花が咲くから出っ歯という呼び名もあるとか。
急な坂道をふーふー言いながら登って初めて会うことのできる桜。
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そしての登りつめたここからの眺めは絶景なり。
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その城山から反対方向へ続くハイキングコース、
山道を歩いていくと、ぼーっと遠くが白く明るみ
急に桜の気配がしてきます。
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来る度にこの桜の気配にときめく。
下にまばらに見えるのは人、
くぼ地にそびえる、すらりと背の高い桜。
こうして上からながめて初めてその存在に気づくのです。
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そしてさらに開けてくる対面の山の桜。
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ここはとっておきの場所、
春の色に霞みながら続く桜の波に思わずため息。
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足元には薄紫のスミレが咲き、
まるでたくさんの蝶が舞うような新緑も芽生えていました。
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俳句に「山笑う」という春の季語があります。
寒い手をこすりあわせながらの桜だったけれど、道々に咲く花や霞むように咲く桜
そして下萌えや木々の若葉、
静かなのに動いている、たしかにほがらかに山が笑っているようでした。

そして夕暮れ時、はしごした桜は
# by sarakosara | 2010-04-09 19:26 | ぶらさら子 | Comments(12)

母と桜

30年も前になくなった母にとって、桜はどんな花だったのだろう。
近所に大きな桜の木がなかったのもひとつかもしれないけれど
思い返してみても、母と桜の話をしたこともなければ、
一緒に桜を見に行ったことも記憶に無い。

母の大好きだった花は沈丁花に紫陽花、
どちらも散らない花。
どちらかというと目線よりも下に咲く花。
見上げる花を見るゆとりがなかったのだろうか。
それともあっという間に過ぎてしまう花に気づかなかったのか。
そんなわけないか。
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まるで桜の花が散るように、たった四日寝付いただけで逝ってしまった母だったけれど、
母との桜の思い出がないのを今さら不思議に思うことがある。
今いたら一緒に見上げてみたいな、どこか連れていってあげたいなと思う。
# by sarakosara | 2010-04-09 18:47 | 思い出小箱 | Comments(6)