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掃き掃除

父の庭の金魚椿の盛りも過ぎたけれど、
毎日にように、花がらが脇の道路に落ちて、それを片付けていた4月。
いつか掃除が日課になった。
昨年までは、父の日課だった掃き掃除。
今は私が出勤前に父の家のシャッターを開けて、お仏壇を参って、
それから掃き掃除をするようになった。

帚で花がらを集めながら、自分に父を置き換えてみる。
父もこうやって、毎朝道路を見てたんだな。
そして時々空を見上げていたのだな、と。

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私は三階のベランダで洗濯物を干しながら、
「じぃじさん、おはよう」
よくそう声をかけたものだ。
すると父は、ん?という顔をしながら
腰を伸ばして、私をみつけて、
「おはよう」と、応える。

あの時の父は、こんなふうに私を見つめていたんだ、
父の視線になりながら、父と私がひとつになる。
もうそんなふうに、声を交わすこともなくなり、
父の日課が私の日課になった。

そういえば、体調を崩した父を連れて一日病院で検査をした日、
私が父のことを、「じぃじさん」って呼ぶのをきいた看護師さんが、
「あら、お父さんのことを、しんじさんって呼ぶの?いいわねぇ」
そんなことを言った。
父の名前は、しんじ。
じぃじさん、がしんじさんに聴こえたらしい。
私はそれを訂正するのも面倒だったし、
名前で父のことを呼ぶのも悪くないなぁなんて思いながら
笑ってうやむやにしてしまったっけ。

連休中に、父の月命日も4回目を迎えた。
片付けをしようと思いながら、
父の家の庭周りの草取りしか終えずに連休も終わりそうだ。
急ぐこともないのだけど、なんとなく、気も急いたりする。
by sarakosara | 2013-05-05 16:04 | 日々

遠きにありて思ふもの


by sarakosara