掃き掃除
2013年 05月 05日
毎日にように、花がらが脇の道路に落ちて、それを片付けていた4月。
いつか掃除が日課になった。
昨年までは、父の日課だった掃き掃除。
今は私が出勤前に父の家のシャッターを開けて、お仏壇を参って、
それから掃き掃除をするようになった。
帚で花がらを集めながら、自分に父を置き換えてみる。
父もこうやって、毎朝道路を見てたんだな。
そして時々空を見上げていたのだな、と。
私は三階のベランダで洗濯物を干しながら、
「じぃじさん、おはよう」
よくそう声をかけたものだ。
すると父は、ん?という顔をしながら
腰を伸ばして、私をみつけて、
「おはよう」と、応える。
あの時の父は、こんなふうに私を見つめていたんだ、
父の視線になりながら、父と私がひとつになる。
もうそんなふうに、声を交わすこともなくなり、
父の日課が私の日課になった。
そういえば、体調を崩した父を連れて一日病院で検査をした日、
私が父のことを、「じぃじさん」って呼ぶのをきいた看護師さんが、
「あら、お父さんのことを、しんじさんって呼ぶの?いいわねぇ」
そんなことを言った。
父の名前は、しんじ。
じぃじさん、がしんじさんに聴こえたらしい。
私はそれを訂正するのも面倒だったし、
名前で父のことを呼ぶのも悪くないなぁなんて思いながら
笑ってうやむやにしてしまったっけ。
連休中に、父の月命日も4回目を迎えた。
片付けをしようと思いながら、
父の家の庭周りの草取りしか終えずに連休も終わりそうだ。
急ぐこともないのだけど、なんとなく、気も急いたりする。